2026年F1マシンは、サーキットでの走行を「毛糸」から再スタートさせた。奇妙に聞こえるかもしれないが、メルセデスとキャデラックは、従来の計測用カメラなどの装置に加え、この新レギュレーションで極めて重要となる領域の空力フローを研究するため、マシン前方に小さな毛糸の糸を取り付けて走行を行った。
新しい年、新しいレギュレーション。しかし、それは必ずしも過去に立ち返れないことを意味しない。2026年仕様マシンの新しい空力特性を理解するため、メルセデスとキャデラックは、カメラを用いた従来の計測機器だけでなく、かつて用いられていたが今なお有効な手法である「毛糸」にも頼る選択をした。キャデラックとメルセデスで異なる設置箇所キャデラックでは、マシン名がスーパーボウル期間中に行われるリバリー発表の場で2月に初めて明かされる予定だが、その車両では毛糸はノーズサポート部分に取り付けられている。一方、メルセデスのW17では、アクティブ・エアロダイナミクスによって可動する第3フラップに対する気流の影響を分析するために、この毛糸が使用されている。リアルタイムで流れを「見る」ための手法この「職人的」とも言える手法は、特にコーナリング中において、気流の向きや、解析すべき不安定な挙動が発生していないかを、エンジニアがリアルタイムで視覚的に確認することを可能にする。メルセデスが注目するフロントの可動要素メルセデスの場合、この取り組みの狙いが、今季を通して極めて重要な意味を持つ領域における気流の影響を調べることにあるのは明らかだ。というのも、フロントにも導入されたアクティブ・エアロダイナミクスは、このレギュレーションにおける最大の技術的トピックのひとつだからだ。この点は、メルセデスのマシンでは第2エレメントがノーズの支持ピラーに固定されており、可動の自由度を持たないという事実を考えると、なおさら重要性を増している。最先端時代にこそ際立つF1の本質超ハイテクの時代にありながら、そしてまだ解明すべき点が数多く残る技術革命の幕開けにおいて、チームがこのようなシンプルで、ほとんど手作業とも言える方法に頼っているのは興味深い。だが、そこにこそF1の最も本質的な姿が表れている。数値を信じる前に、まずは自分たちの目で見えるものを信じる。その姿勢こそが、F1という競技の根幹なのだ。