2012年の新F1エンジンレギュレーションに関する議論は、既存エンジンメーカーがMGU-Hの廃止に反対していることで並行線を辿っている。新ルールの昨年は6月30日に期限を迎えたが、合意に達することはできなかった。昨年10月、FIA(国際自動車連盟)とリバティメディアは最初の2021年以降のF1エンジンレギュレーション案を提示。自動車メーカーがF1に新規参入することを促進するために、F1エンジンを安価でシンプルにしたものにしたいと考えており、特にMGU-Hの廃止を希望している。
しかし、4月初めにリバティメディアが発表した2021年以降のF1の将来についての計画では、エンジンは5つの核となる要素に含まれていたものの、フェラーリやメルセデスが難色を示していたMGU-Hの廃止は省かれていた。そして、先週のF1ストラテジーグループの会議において、既存エンッジンメーカーは、MGU-Hを含めた現在のハードウェアパッケージのすべてを維持したいと改めて主した。既存エンジンメーカーは、FIAとリバティメディアの提案を正当化する主張のひとつだった2021年の新たな自動車メーカーの参入について現状ではまったくコミットされていないとう事実を強調している。ポルシェは、現在のV6ターボハイブリッド規約が策定された際と同じように、今回の2021年の新レギュレーションの議論に加わっている。しかし、ポルシェはまだF1プログラムの開始を決定しておらず、そこには少なくともフォルクスワーゲン・グループ全体を取り巻く排ガススキャンダルが絡んでいるとされている。アストンマーティンもF1プロジェクトへの興味を示していたが、まだ曖昧な態度をとっている。加えて、レッドブルがホンダとのワークス契約を発表したことで状況は変化。今後はアストンマーティンの関与は減少していくとみられている。メルセデスのモータースポーツ責任者を務めるトト・ヴォルフは「議論することはまだかなり残っている。我々はエンジンの再設計を意味する提案を受けた」とコメント。「現在F1に従事している4社すべてが、より多くのノイズが必要で、燃費について議論することが重要だという理解でいる」「だが、他に誰も参入することがないのにエンジンを再設計する利点はほとんどない。もし、我々の4社(メルセデス、フェラーリ、ルノー、ホンダ)全員がコミットして、必要な費用と投資を行っているように、どこかがF1に参入することをコミットするならば、是非、エンジンレギュレーションについて議論しようではないか」「だが、誰も内部にいないのであれば、それは学問的な議論になってしまう」レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナーは、新規参入者が出てきていないことを指摘。さらにホンダはMGU-Hを継続することを熱望しており、レッドブルはその立場を支持していると語る。「最終的に運営組織と商業権保有者は、彼らがスポーツにとって正しいと信じることをやっていかなければならない」とクリスチャン・ホーナーはコメント。「参入する者は誰もいないように見えるし、実際にはFIAとリバティが何をしたいかを決断するかにかかっている」ルノーのスポーティングディレクターを務めるシリル・アビテブールは、高価な新しい開発レースに巻き込まれたくないとし、「安定性を優先すべきだ」と語っている。このような状況のなか、Blick は、メルセデス、フェラーリ、ルノーの3社が集まり、MGU-Hを存続させる方向で団結することを話し合ったと報じてる。同紙は「唯一可能性が高いと見られているポルシェの参入にストップをかけるのが狙いだ」と報じた。記事によると、この3社連合は、MGU-Hを廃止すれば、完全に新しいF1エンジンの設計を余儀なくされるため、かえってコストが増するとの主張を前面に押し出すという。Auto Motor und Sportは、これは事実上の「カルテル」だとし、あるパドック関係者のコメントを紹介している。「彼ら(メルセデス、フェラーリ、ルノー)は自分たちの地位が脅かされることを恐れているMGU-Hを廃止しなければ、ポルシェやその他のメーカーが参入して彼らを倒すようなことはなくなるからね」
全文を読む