元FIA会長のマックス・モズレーは、故意にF1マシンを速くしようと試みる2017年の新F1テクニカルレギュレーション変更のあり方に疑問を呈した。新レギュレーションでは、F1マシンのタイヤとウィングはワイドになり、ディフューザーが長くなることで、2015年よりも1周あたり5秒速くなると見込まれている。この変更は、F1マシンは運転するのがよりフィジカルなものとし、レースをより見応えのあるものにするという狙いがある。
しかし、その一方でレースにネガティブな影響を与える可能性も懸念されている。2009年、マックス・モズレーは、安全性の向上を目指してF1マシンの速度を抑えるつつ、ホイール・トゥ・ホイールのバトルを促進するために、レギュレーション変更を率いた。単純にスピードアップだけを目的としたレギュレーション変更が実施されるのは1966年以来。当時はエンジンが1.5リッターから3リッターに変更されている。マックス・モズレーは、そのようなレギュレーション変更がF1に利益をもたらすとは確信していないようだ。「私の個人的な見解としてだが、ルール変更は間違った方向に進む可能性がある。私ならおそらく空力を抑えて、メカニカルグリップを増加させる方向で進めただろう」とマックス・モズレーは ITV にコメント。「故意にマシンを速くしようと試みることには疑問を覚える。なぜなら、FIAが過去40年や50年にもたらした全てのルールは、マシンをスロー、もしくは安全にするものだったからだ。当然、スピードは危険とイコールだ」リバティ・メディアのF1買収を受け、ロス・ブラウンがF1のモータースポーツ部門マネージングディレクターに就任。将来のレギュレーションを策定していくことになる。マックス・モズレーは、ロス・ブラウンという人選は優れているとしつつも、商業権所有者がレギュレーションの構成に携わるべきかどうかに疑念を抱いている。「ロスは完全にこのスポーツを理解しており、何をするべきかを理解している。彼は間違いなく第一級の分析脳を持っている」とマックス・モズレーはコメント。「彼らにとって、彼は非常に大きな財産になると思うが、F1のスポーツ面はリバティが成すべきものではない。ロスは傑出しており、彼らは良い人選をした」