2009年、F1マシンは大きな変貌を遂げる。レギュレーションの大きく変更されることにより、各チームはこれまでのマシンのアップデートではなく、基本的なマシン構造から見直さなければならなくなる。2009年のレギュレーションでは、主にダウンフォースの50%削減、スリックタイヤの復活、KERSの導入が挙げられる。中でも、F1マシンに劇的な変化をもたらすのは、ダウンフォースを50%削減させるための空力レギュレーションの変更といえる。
車体の最大幅は1,800mmのままとなるが、フロントウイングの最大幅は1,400mmから1,800mmに変更され、タイヤと同じ幅まで拡大される。高さは75mm〜275mmの間となる。中心部の幅400mmは規定の形状となり、エンド側がカットされた形状となる。エレメント数に規制はない。また、可変式フラップが採用され、ドライバーはフラップの角度を6度の範囲内で1周につき2度変更することが可能となる。また、フロントタイヤの中心部より前方450mmからリアタイヤの中心まではウイングの装着が禁止される。そのため、バージボードやホーンウイング、カナード、アッパーボーダーウイングから延びるスプリッターなど、あらゆる装飾ウイングが姿を消すことになる。サスペンションのアーム部分なども空力を考慮したデザインは使用できなくなる。サイドポンツーン上も規制され、エンジンルーバーが禁止される。エキゾーストパイプはマシン後方から見える分には問題ないが、上部から見えるのはNGとなる。ただし、2008年に多くのチームが採用したシャークフィンの使用は認められる。リアウイングは、全幅が1,000mmから750mmへと縮小され、高さは800mmから950mmに変更となる。前後位置に関しては今年からの変更はない。ディフューザーの開始位置は、リアタイヤの中心点で、高さは125mmから175mmに変更される。2009年のF1マシンは、かなりスッキリとしたデザインへと変貌する。また、KERSの導入、スリックタイヤの復活により、重量配分などの設計が変わってくることになる。2009年は、このように全てのチームが同じスタートラインから開発することになり、グリッド上の勢力図に変化が可能性がある。限られたボディーワークの中で、どのようなアイデアが生まれてくるか注目したい。