F1のトップチームは、F1の収入からの上位勢の取り分を犠牲にし、小規模チームに再配分するというバーニー・エクレストンの提案には乗り気ではない。F1アメリカGPでは、管財人の管理下に置かれたケータハムとマルシャが不参加となり、深刻な財政状況がF1界に突きつけられた。また、中団チームも、何らかの変化が必要だと明言しており、事態の厳しさを強調すべくボイコットの話し合いがメディアにリークされている。
これに対し、バーニー・エクレストンは、F1の商業権所有者と結んでいる現在の契約でビッグチームが受け取っている賞金の一部を犠牲にすべきだとの考えを述べた。しかし、フェラーリ、レッドブル、メルセデスは、その案に前向きではない態度を示している。F1の歴史の中で収めてきた成功に対して追加のボーナスを受けているフェラーリは、現在の蓄えを再配分するのではなく、商業権所有者たちによって賞金額を拡大すべきだと考えている。フェラーリのチーム代表マルコ・マッティアッチは「フェラーリはどのようにケーキをスライスするかではなく、ケーキそのものを大きくすることに集中している」とコメント。「過剰に反応する必要はない。まずは、いかにして収入を増やすかを検討すべきであり、それが第一のプライオリティだ。2つ目は、F1にやってくる人々にその挑戦についてしっかりと把握してもらうことだ。このスポーツはイノベーションであり、イノベーションにはコストがかかる。長期にわたるかなりの額の投資が必要だ」「我々はF1への投資を続ける。我々は数十年前からここにおり、今後も長い時間そうするだろう。我々はこのスポーツに貢献してきたし、常に言っているように、共に働くチームをサポートし、自分たちの務めを果たす準備がある。あなた方が考えるような方法で収入を再分配しても、チームが生き残ったり、競争力を発揮するようになるとは思わない」レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは「バーニーがそれを提案したとはとても素晴らしいことだ。全チームが商業権所有者と彼の契約の交渉をした。賞金の配分については彼に要求するべき問題だろう」「我々は協定にサインしたし、ケータハムやマルシャへの賞金を2倍にしたところで、それが彼らの問題を解決するとは確信できない。彼らの問題はもっと根本的なものであり、収入よりもコスト要因の問題だ」「我々の予算には莫大なプレッシャーがかかっており、自分たちの予算内でやりくりしなければならない。商業権所有者が小規模チームにもっと多くの金額を配分したいのであれば、それは彼らの選択であり、彼らの責任だ。チームは戦うためにここにいる。お互いのスポンサーを務めるためではない」今季のコンストラクターズ選手権で優勝したメルセデスだが、歴史的理由でフェラーリ、そして近年の成功によってレッドブルが得ているようなボーナスはない。メルセデスのモータースポーツ責任者を務めるトト・ヴォルフは、賞金の配分見直しの案に同意しないとしながらも、少なくともより規模の大きいチームがどうすれば小さなチームを助けられるかの話し合いには応じると述べた。「我々は、自分たちがなぜここに至ったかを知っている。バーニーにとってはF1のメインキャストであるビッグチームと再度契約することが重要だった。今日、我々は2つの小規模チームを失い、他にもいくつかのチームが苦境にあるという状況にある」「チームとしてはバーニーと話し合うべき問題だ。いわゆるビッグチームが何かできるのであれば、我々は腰を据えて話し合うべきだ。メルセデスに関しては、他チームが得ているものには遠く及ばないので、我々が優先的なターゲットにはならないと感じている。バーニーがどこへ行き着くのか見守ろう」