Sky Sports F1の解説者であるマーティン・ブランドルが、火曜日にウィンザー城で行われた式典にて、モータースポーツとスポーツ放送への貢献が評価され、大英帝国勲章(OBE)を授与された。65歳のブランドルにとって、長年にわたるF1との関わりを象徴する誇らしい瞬間となった。勲章は、モータースポーツに情熱を注ぎ続けてきたブランドルに対し、プリンス・オブ・ウェールズ(ウィリアム皇太子)から手渡された。このOBEは、今年の「新年叙勲リスト(King’s New Year’s Honours list)」の中で発表されたものである。
2つのキャリア、2つの賛辞式典後、Sky Sports Newsのインタビューに応じたブランドルは、OBE受章にあたり誇りと謙虚さの入り混じった心境を語り、これまで共に歩んできた仲間たちに感謝の意を示した。「この勲章は自分一人のものじゃない。何人もの人たちを代表して受け取っていると感じたよ」と元F1ドライバーのブランドルは語った。「僕のマシンを設計し、組み立て、修理してくれた人たち。放送の現場で一緒に働いてくれている仲間たち。F1のような世界で、一人でできることなんてないんだ」そしてこう続けた。「僕はF1で2つのキャリアを築くことができた。ドライバーとして、そして今は解説者として。それがこの受章につながったんだと思う」クリスマス直前に受章通知の手紙を受け取ったときのことを聞かれると、ブランドルは「本当に興奮した」と笑顔を見せた。ノーフォークからグリッドへ、そしてウィンザー城へブランドルにとって、今回のOBE授与は、1992年のF1イギリスGPで初めてウィリアム皇太子と出会った時の思い出もよみがえらせた。「当時、彼はお母さん(故ダイアナ妃)と弟と一緒に来ていたんだ。ドライバーズ・ブリーフィングの直後に会ったんだけど、僕らはどちらもノーフォーク出身という共通点があって、話が弾んだよ。彼が他にも色々と話してくれたけど、そこはプライベートってことでね」“混沌の名物”グリッドウォークの裏側ブランドルは、専門的な分析だけでなく、F1中継での「予測不能なグリッドウォーク」で親しまれている。その独特のスタイルは、世界中のファンの間で“カルト的人気”を博している。「僕らはストーリーを伝えるためにそこにいる。マシンやドライバー、そしてF1という速くて複雑なスポーツを解き明かすことが僕らの仕事なんだ」「パドックの内側に入り込んで、アクセスを活かして、よく知る人々に話を聞く。ときにカオスだけど、それが僕らの役目だよ」最近では、特にラスベガスGPのような“華やかすぎる”イベントでは、グリッド上の混雑も極まっていると語る。「ラスベガスではグリッドに1000人はいたね。誰も見えないこともあるし、F1マシンすら見つけられないこともあるくらい」「でも、そんな中で人を見つけて話しかける。それが時に上手くいかなくてグダグダになることもあるけど、そこが面白さなんだ。僕のグリッドウォークを見て、視聴者が『今日は調子が良さそうだな』『今日はひどいな』って感じ取ってくれてると思うよ」27年間、自分のグリッドウォークを見たことがない意外にも、ブランドルは「これまでの27年間、自分のグリッドウォークを一度も見たことがない」と明かした。「僕にとって自然な行動じゃないんだ。走り回って、人の会話を割って入って…それがいつの間にか“ブランドル流”として定着した」「もともとはグランプリ直前の高揚感を盛り上げるために導入されたんだ。マシンがグリッドに並び、場が静まる。そのタイミングでテンションを上げる演出としてね。ドライバーがヘルメットを被る寸前に話を聞けるのは、スポーツ界でも唯一無二の瞬間だと思っているよ」栄誉ある勲章と、手にしたマイク。マーティン・ブランドルは今もF1界で最も親しまれ、信頼される声のひとつであり続けている。パドックの教授として、混乱のグリッドを泳ぎ抜けながら、F1ファンに“物語”を届けている。
全文を読む