カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ)が2025年F1カタールGPで今季2度目の表彰台を獲得した。決勝終盤にはランド・ノリス(マクラーレン)から激しいプレッシャーを受けたものの、DRS圏内まで迫られながらその猛追を完璧に抑え込み、3位でフィニッシュした。今季、ウィリアムズが表彰台に立つのは2021年以来。サインツ自身もアゼルバイジャンGP以来のトップ3となり、グローブのチームはコンストラクターズ5位を確定させる大きな成果を掴んだ。
スタートから勝負が動く:SC下の戦略判断が決定打にサインツは唯一のウィリアムズ勢としてQ3に進出し、決勝は上位争いが狙える位置からスタート。オープニングラップでアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)とジョージ・ラッセル(メルセデス)がポジションを落としたことで、早々に5番手へ浮上した。レースの流れが大きく変わったのは序盤、ニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)とピエール・ガスリー(アルピーヌ)の接触によりセーフティカーが導入された場面だ。ウィリアムズはここでサインツを即座にピットへ呼び込み、この判断が勝負を決めた。迅速なタイヤ交換により、同じタイミングでピットインしたアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)を逆転。以降は抜きどころの少ないルサイルでポジションを堅持し続けた。ノリスの猛追を封じた“完璧なレース”レース後半、マクラーレン勢は代替戦略により後方へ後退。ノリスが最終スティントで猛烈な追い上げを見せたが、サインツは一切の隙を見せずにブロックラインを維持した。その走りについてサインツはこう振り返る。「本当にうれしいし、チーム全員を誇りに思う。正直、この週末は今年一番厳しくなると思っていた。でもレースペースがとても良くて、戦略もタイヤマネジメントもすべてうまくいった。完璧なレース運びで予想外の表彰台に届いた」終盤にはアンダーステアにも悩まされていたというが、それでも確実にラップを重ね、ノリスの攻勢を最後まで凌ぎ切った。ウィリアムズの成長が示した“実行力”サインツは、チーム全体の進歩こそが今回の結果を生んだと強調する。「今日は本当にすべてが噛み合った。前半戦は難しい時期もあったけど、ピット作業も含めてチームが多くの領域で改善を積み重ねてきた。その積み重ねが今日の結果につながった。だからこそ本当にうれしい」チームメイトのアレクサンダー・アルボンは惜しくも11位でポイントに届かなかったが、戦略精度と作業の速さで大きく前進したウィリアムズにとって、このカタールGPは確実な成長を示すレースとなった。