キャデラックF1チームは、2026年のF1参戦に向けて、デビュー車のリバリーを来年のスーパーボウル中継内で公開すると発表した。F1チームが別の大型スポーツイベント内で初披露を行うのは史上初となる。同チームは2026年、F1の11番目のエントラントとして参戦を開始する。スーパーボウルでのリバリー公開は、米国最大の放送枠を活用した極めて野心的な試みで、視聴者数1億2700万人を超えた前回大会を踏まえても、そのマーケティング規模が際立つ。
キャデラックF1 CEOのダン・トーリスは、スーパーボウルでの公開がアメリカ文化の象徴的な舞台であると強調し、「我々のブランドらしさを示す最高の場だ」と語った。同チームはF1において唯一のアメリカ自動車メーカーとなり、長年の欧州勢が支配する世界へ“スタンディングスタート”で挑む姿勢を示している。スーパーボウルという“究極の舞台”を選んだ理由トーリスは、「スーパーボウルはスポーツ、エンターテインメント、ストーリーテリングが融合する特別な瞬間だ」と述べ、キャデラックF1チームを象徴的に紹介するために最適な場だと説明した。30秒の広告枠が約800万ドル(約12億円)に達する現状でも、その価値を上回るインパクトがあると判断したかたちで、チームは一気に全米へ存在感を示す戦略に打って出る。チーム体制と準備状況キャデラックF1チームは、ジェネラルモーターズ(GM)とTWGモータースポーツの支援を受けて参戦。TWGを率いるのは元マルシア代表のグレアム・ロードンだ。ドライバーには複数回の優勝経験を持つバルテリ・ボッタスとセルジオ・ペレスを起用。さらにアメリカ人ドライバーのコルトン・ハータがテストドライバーを務める。2026年はフェラーリ製パワーユニットを搭載し、自社製エンジンは数年後の投入を見込む。また、1月26〜30日にバルセロナで2026年マシンのプライベートテストを予定しており、スーパーボウルでの公開はその直後となる。F1人気急上昇の米国市場を捉える狙いF1は米国で人気を急速に高めており、スーパーボウルという巨大な舞台で新チームの存在を打ち出すことは、キャデラックにとって象徴的な投資となる。同時に、2月11〜13日に始まるバーレーンのTV中継付き公式プレシーズンテスト、18〜20日の第2回テストへとスムーズに接続され、3月8日のオーストラリアGPでのデビューへ勢いを持ち込む構図だ。今回の取り組みは、単なる新チームの参入発表にとどまらず、F1とアメリカ文化の交差点にキャデラックが如何に大きな影響力を持ち込もうとしているかを象徴する一手となる。
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