キャデラックのF1チームは、米国拠点の建設が完了するまで2026年マシンをシルバーストーンから走らせることになると、チーム代表のグレアム・ロードンが明かした。キャデラックは来年、3月6〜8日のオーストラリアGPで11番目のコンストラクターとしてF1デビューを果たす。ドライバーはグランプリのベテラン、バルテリ・ボッタスとセルジオ・ペレスのコンビだ。
アメリカのライセンスで参戦し、大西洋を挟んで両側に拠点を構える。シルバーストーンに工場を構え、さらにインディアナポリス州フィッシャーズには専用の本部を建設中だ。しかしインディアナポリスの拠点はまだ完成していないため、ゼネラルモーターズ傘下のブランドであるキャデラックは、6月にメディアに公開された英国シルバーストーンの施設を拠点に2026年体制を主に運営するとロードンは語った。ロードンはポッドキャスト『Beyond the Grid』で次のように述べた。「(フィッシャーズは)およそ50万平方フィート規模の開発で、F1専用に新たに建設されたものだ。その周囲にはファンにとっても非常に興味深い施設が数多く併設される予定だ。そこが本部であり、時間の経過とともに車両製造の大部分がそこで行われるようになる。だが、我々が参戦エントリーを得たのは今年3月のことだ。そこから工場を建て、人員を雇用し、機械を導入し、航空宇宙基準に匹敵するF1レベルの部品を製造してメルボルンのグリッドに間に合わせることは不可能だ」「だから我々にはシルバーストーンに施設がある。そこは物流拠点であり、エアロ設計やメカニカル設計も行っている。2026年マシンはフィッシャーズが完成するまでそこから統括されることになる。しかし最終的には米国の本社がメインになるだろう。とはいえシルバーストーンは単なる分室ではなく、チームの重要な一部だ」キャデラックはさらにドイツにあるトヨタの風洞を独占利用でき、またノースカロライナにパワーユニット拠点を構えており、2029年からは自社開発エンジンでの参戦を予定している。それまではフェラーリのカスタマーチームとして活動するが、2025年夏休み明けからすでに120人以上のスタッフを積極的に採用している。大陸をまたぐ複数の施設を活用する手法はF1チームとしては異例であり、キャデラックは効率的に大規模チームを運営するためNASAからインスピレーションを得たという。ロードンは「我々はNASAから多くを学んだ。大規模で技術志向の組織において、エンジニア同士、空力スペシャリスト同士といったピア・ツー・ピアのコミュニケーションを、地理的な境界を越えて最大化する方法についてだ。その知見に沿ってチームの構造を設計した。結果、我々はひとつのチームとして機能している。あるチームには部屋や廊下があるが、我々の廊下は非常に長く、大西洋をまたいでいるだけだ。それでもチームは単一の組織として運営されている」と付け加えた。