キャデラックF1の2026年プロトタイプマシンが、FIAの厳格な衝突試験や耐圧試験に合格した。チーム代表グレアム・ロードンは「予定通り」と強調し、ゼネラルモーターズが支援する新チームの準備は順調に進んでいる。F1参戦のゴーサインを得てから6か月、そして11番目のチームとして参戦するまであと6か月。ゼネラルモーターズが支援するキャデラックF1チームの準備は本格化している。
F1チームをゼロから立ち上げることは容易ではない。だが、その稀少な経験を持つ人物が、来季からグリッドに立つこのアメリカンプロジェクトを率いている。グレアム・ロードンはF1で豊富な経験を積んでおり、まずマルシャ/マノーでスポーティングディレクターを務め、その後は中国人初のF1ドライバーとなった周冠宇のマネジメントチームの一員として活動した。その間、今回のキャデラックF1参戦計画のアドバイザーも務めており、すでに深く関わってきた人物だ。「新しいF1チームを立ち上げるというのは稀なスキルセットだが、重要なものなんだ」とロードンは笑顔で語る。ここはイタリア・モンツァのパドック。CEOダン・タウリスと共に2日間の訪問を行っていた。キャデラックは先月末、参戦に向けて大きな一歩を踏み出した。セルジオ・ペレスとバルテリ・ボッタスという、通算527戦を誇る来季グリッドで最も経験豊富なドライバーラインナップを発表したのだ。「ドライバーたちの反応を見るのも素晴らしかった」とロードンは語る。「我々が経験を重視してバルテリとチェコを起用したのは明らかだが、それを伝えたときの彼らの瞳の輝きが印象的だった。私が求めているのはその興奮だ」ロードンは新加入のキャデラックF1ドライバー、ボッタスとペレスの熱意に感銘を受けた「そのうえで重要なのは情熱だ。情熱的なドライバーラインナップがあれば、チーム全体をひとつにまとめやすい。今まさに我々が構築しているのはチームであり、チームとは人の集合体なんだ」両ドライバーはF1で成功を収めてきた。16勝と106回の表彰台を分け合っている。しかし今季は2人ともレースから離れており、それぞれ異なる時間を過ごしてきた。ペレスは20年ぶりに家族と共に長期旅行に出るなど、完全にリセットして充電を行った。一方のボッタスはメルセデスのリザーブとして毎戦パドックに滞在し、レース復帰への渇望を募らせてきた。ボッタスとペレスの復帰への展望ロードンは、2人ともすぐに戦闘力を取り戻すと確信している。「ペレスがドライビングを忘れるはずがない」とロードンは言う。「彼はすでにカートを始めており、間もなくシミュレーターにも乗る。実車でのテストも行う予定だ。間違いなくすぐにスピードを取り戻すだろう」「2026年は通常とは異なり、テスト日程が3倍ある。バルセロナでの初回テストに加え、バーレーンで2回の追加テストがあるからね。これは復帰の大きな助けになる」「バルテリにとっては、メルセデスで活動していたことが非常に役立つ。特に2026年はタイヤとパワーユニットが大きく変わるので、経験豊富なドライバーの存在は貴重だ。パドックに居続け、毎週エンジニアリングミーティングに出席してきたことで頭は常に冴えている」ハータは「本物のレーサー」キャデラックは初年度にアメリカ人をレースシートに据えなかったが、将来的に起用するという約束を守り、インディカー優勝経験を持つコルトン・ハータをテストドライバーに迎えた。25歳のハータは116戦に出場し最年少優勝を果たした実績を持つ。インディカーのレースシートを捨ててF1参戦を目指す姿勢は果敢そのものだ。シミュレーターに加え、FP1出走やF2参戦を通じてスーパーライセンス取得を目指す。「コルトンのことは本当に好きだ」とロードンは言う。「彼のアプローチが大好きだ。真のレーサーなんだ」インディカーで活躍するハータはキャデラックF1のテストドライバーに就任する「あるシリーズで勝てる立場にいながらテスト役に回る決断をした。これは自分の速さに自信があるからこそできることだ。挑戦から逃げない姿勢こそレースの本質だ」「彼がアメリカ人であることはプラスだが、我々は常に実力本位で選んでいる。ファンにとっても素晴らしいことで、発表直後から大反響を呼んだ。F2参戦と並行することで実戦感覚も維持できるだろう」キャデラックは次にリザーブドライバー探しに着手する予定だ。ハータはスーパーライセンス未取得のため代役を務められないからだ。「まだ誰とも交渉していない。だがこれから注力すべき課題だ」とロードンは付け加える。キャデラックのマシンは「予定通り」ドライバー探しと並行して、デビューカーの準備も着実に進んでいる。テクニカルディレクターにはルノーで長年F1に携わったニック・チェスター、チーフデザイナーには7チームでの経験を持つジョン・マクウィリアム、さらにパット・シモンズがエンジニアリングコンサルタントとして参加している。「我々にはおよそ2,500年分のF1経験がある」とロードンは冗談交じりに語る。「新車は予定通り進んでおり、現在2台のレース用シャシーを製作中だ」プロトタイプはすでに製作済みで、FIAの厳しい耐圧試験や衝突試験に合格済みだという。「他チームは過去の車両から学べるが、我々は早い段階でこれを済ませ、自信を得たかった。今は実際のレース用シャシーを製作しており、順調だ」イタリアGPのパドックに姿を見せたロードン。2026年参戦に向けた準備は続く「この競争は信じられないほど熾烈」キャデラックは将来的にインディアナ州フィッシャーズに本拠地を置く計画だが、施設完成は来年以降となる。それまでは世界各地のパートナーと協力し、シルバーストン近郊の拠点を最大限活用する。来季はフェラーリ製パワーユニットとギアボックスを使用しつつ、ケーシングやサスペンションなどは独自設計で製造する。1月にシルバーストンでシェイクダウンを行い、その後はバルセロナとバーレーンでの公式テストを経て開幕戦オーストラリアGPへ向かう。GMの目標は当然「勝利」だが、同時に現実的でもある。成功には時間がかかることを理解しているのだ。「この競争は信じられないほど熾烈だ」とロードンは言う。「F1は技術的にもビジネス的にも非常にシンプルで、誰でも規則をダウンロードできる。だが問題はそこにある。同じ規則で11チームが戦うため、競争は極限的に激しい」「既存チームは10年以上この競争を続けてきた。新チームがいきなり対等に戦えば、彼らは憤慨するだろう。我々にできるのは可能な限り良い仕事をして、...