華やかなマイアミのイベントで、キャデラックF1チームはチームロゴをお披露目した。アメリカ流の派手な演出のもと、チーム幹部や潜在的なスポンサー、多くのVIPを招いた豪華な式典が開催されたが、その裏では2026年のF1参戦に向けた準備が急ピッチで進められている。アンドレッティ・グローバルがF1参戦を正式に申請してから、すでに2年以上が経過した。
その間、ヨーロッパとアメリカをつなぐ“架空の橋”には多くの障害が立ちはだかり、ゼネラルモーターズ(GM)がキャデラックブランドでF1に参戦するまでには、米国議会まで巻き込むような紆余曲折があった。このような政治的な気運の中で、投資家たちは一時的に計画を保留せざるを得なかったが、2024年3月7日、ついにF1参戦に正式なゴーサインが出された。それ以前から支援者のマーク・ウォルターとダン・トーリスは、エントリーが確定していない段階にもかかわらず、イギリス・シルバーストンにエンジニアリング拠点を設立し、人員を配置するなど先行投資を実施していた。そして現在、キャデラックF1のプロジェクトは、2026年のグリッドに間に合わせるために慌ただしく動き出している。現在パドック内では、時間短縮のため外部サプライヤーの活用を積極的に検討しているとの噂が出ている。フェラーリとの提携により、パワーユニットだけでなく、ギアボックスやリアサスペンションの供給も保証されており、空力開発はドイツ・ケルンのトヨタ風洞で既にスタートしている。シャシー開発に関しては、ダラーラとの協力が取り沙汰されてきたが、マイアミの週末には、クラッシュテスト用のボディがすでに製作され、テストにも合格していることが明らかになった。重量目標は超過しているものの、2026年の厳しい最低重量規定を前にすべてのチームが同様の課題を抱えている状況を考えれば、特別な事例ではない。チーム関係者によると、最終的な組織体制は約600名を予定しており、現在その半数がすでに稼働中だという。技術責任者ニック・チェスターのもとで体制構築が進められているが、一部の人材は他チームからの「ガーデニング休暇(移籍制限期間)」中のため、まだ現場に合流できていない。並行して、2029年のデビューが予定されている自社製パワーユニットの開発も始まっている。米国・シャーロットにあるGMのモータースポーツ本部にて、まずはシングルシリンダーの試作ユニットから開発が始まり、9月にはV6ユニットの完成を目指している。この巨大プロジェクトには莫大な投資が伴うが、FIAによる将来のパワーユニット規定の変更によって努力が無に帰すリスクを避けるため、最近までは開発ペースを抑えていた。だが、現在は不確実性も解消され、オーストリアの専門企業AVLに大量のテストベンチを発注したことが、その方針転換を裏付けている。パワーユニットの開発にはコスト上限が設けられており、最初の3年間における最大支出額は2億1000万ドルに制限されている。キャデラックは、初年度から他のPUメーカーと同様の規則に従うことになる。また、優先順位こそ高くないものの、ドライバー市場へのアプローチも始まっている。チームはルーキードライバーの起用には慎重な姿勢を示しており、経験豊富な人材の採用を軸にしていると見られている。そのため、当初候補に挙がっていたコルトン・ハータは、インディカーのシーズン終了(8月末)までスーパーライセンスの取得見通しが立たないことから、現実的な選択肢ではなくなっている。マイアミではセルジオ・ペレスの名前が多く取り沙汰され、土曜夜のチームイベントに彼が現れるとの噂もあった。実際に姿を見せたのはミック・シューマッハのみだったが、ペレスは依然として候補リストに残っている。グレアム・ロードン代表がリストアップしている他の候補には、周冠宇、バルテリ・ボッタス、そしてグランプリ出走経験こそないものの、アストンマーティンのリザーブドライバーとしてF1に精通しているフェリペ・ドルゴヴィッチの名も含まれているという。
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