ジェンソン・バトンは、F1世界王者1回、通算15勝、306戦出走というキャリアを築いてきた。そのバトンが今回、新たに始めた「ジェンソンズ・ジャーナル」第1回で、日本、ホンダ、エイドリアン・ニューウェイ、2026年F1新レギュレーション、フェルナンド・アロンソ、そしてアストンマーティンとの新しい章について綴った。なぜアストンマーティンなのか。そう尋ねられることが多いというバトンは、その理由はとてもシンプルだと語る。
幼い頃からクルマとモータースポーツに囲まれて育つなかで、アストンマーティンは特別な響きを持つ名前であり続けてきたという。アストンマーティンという特別な名前「同じ質問を何度もされるんだ」「なぜアストンマーティンなんだ?ってね」「正直、とてもシンプルなことなんだ」「クルマやモータースポーツのある環境で育つと、どうしても特別な意味を持つ名前がある。そしてアストンマーティンは、そのひとつなんだ。物心ついた頃から、ずっとこのブランドのクルマが好きだった」「僕は1980年代生まれだけど、1960年代のDB4やDB5を振り返ると、本当に美しいと思う。そしてその美しさが、いまに至るまでずっと続いている。パフォーマンスとスタイルが組み合わさっていて、それが時代を超えている感じがするんだ」「アストンマーティンはずっと僕の心の中で特別な存在だった。たぶん、それはほとんど誰にとっても同じだと思う」惹かれたのはチームを支える人たちバトンは、アストンマーティン・アラムコで仕事をするうえで本当に胸が高鳴るのは、そこにいる人たちだと明かした。優れた才能を持つ人材がそろっており、このチームが向かう先に対する確かな信念があるという。「でも、アストンマーティン・アラムコで仕事をするうえで本当にワクワクするのは、人なんだ。ここには才能のある人がたくさんいるし、このチームがどこへ向かっているのかについて、本物の信念がある」「もちろん、シーズンのスタートは簡単じゃなかった。でも、それがフォーミュラ1なんだ。ものすごく競争が激しい世界だからね。このスポーツでは、意味のある進歩っていうのは、いつだって時間をかけて築かれていくものなんだ」新しいレギュレーションで問われる適応力2026年は、新たな技術時代への移行という意味でも非常に興味深いシーズンだとバトンは見る。一方で、どれだけ時代が変わっても、F1がモータースポーツの頂点であることに変わりはないとも強調した。「今年はとくに面白い年なんだ。僕たちはまた新しい技術時代に足を踏み入れているからね。でも、変わらないものもある。フォーミュラ1は今でもモータースポーツの頂点だ」「F1マシンをドライブする感覚に匹敵するものは本当にない。パワー、ブレーキング、限界で走っているときにクルマが自分の下でどう動くか。その感覚は何度味わっても色褪せない」「このクルマたちは、信じられないほど速い」その一方で、マシンの挙動や扱い方は大きく変わってきているという。特にパワーユニットの振る舞いは、ドライバーがこれまで慣れ親しんできたものとは大きく異なる。「でも、こうしたクルマの働き方は進化している。いまのパワーユニットは、ドライバーがこれまで慣れてきたものとはかなり違う挙動をするんだ」「昔なら、コーナーを立ち上がったときに自分がどれだけのパワーを持っているのか正確に分かっていた。でも今は違う。ひとつ前のコーナーでどれだけブレーキ圧をかけたかとか、ハイブリッドシステムがどうエネルギーを展開するかとか、そういうことに左右される」「つまり、ドライバーはこれまで以上にその場で考えなければならない。これをうまくできるドライバーは良い意味で目立つことになるし、できないドライバーは悪い意味で目立つことになる」ニューウェイの仕事ぶりと、乗ってみたい1台バトンは、エイドリアン・ニューウェイが設計した新世代のマシンをぜひ走らせてみたいとも語った。長年ライバルとして彼のマシンと戦ってきたからこそ、実際に一緒に仕事をする感覚に強い興味を抱いていたという。「この新世代のクルマにはぜひ乗ってみたいよ。とくにエイドリアン・ニューウェイが設計したクルマにはね」「長年にわたって彼のクルマと戦ってきたし、一緒に仕事をしたらどんな感じなんだろうって、いつも思っていた。そういう意味では、ランスとフェルナンドに少し嫉妬していると言えるかもしれないね」そして、実際に間近でニューウェイの仕事ぶりを見られることも刺激になっている。「エイドリアンが仕事をしている姿を間近で見るのは、本当に興味深い。彼はとても昔ながらのやり方なんだ。ノートを手にして、製図板にアイデアをスケッチしている。でも、それこそが彼をあれほどの達人にしている理由の一部なんだと思う。本当にそうだ」「それに、そうだね、彼のノートをこっそりのぞこうとしたこともあるよ……もちろん気づかれたけどね」バトンは、もしチャンスがあるならニューウェイのクルマを本当に運転してみたいと笑う。「本当にエイドリアンのクルマを走らせる機会があれば飛びつくよ。デモランとかね。でも24戦のシーズンを戦うのは……もう僕には年を取りすぎているかな」アロンソというベンチマークフェルナンド・アロンソについては、チームメイトとして過ごした数年間が非常に大きな意味を持っていたと振り返った。簡単な時期ではなかったが、アロンソという本物の基準がいたことで、自分自身も大きな挑戦を楽しめたという。「でも、フェルナンドはね……」「僕は数年間、彼と一緒にレースをした。僕たちにとって簡単な時代ではなかったけど、それでも自分にとってひとつだけ確かなベンチマークがあったとすれば、それはチームメイトのフェルナンドだった」「同じマシンでフェルナンドのような相手を倒そうとして走るのは、本当に大きな挑戦だった。でも、僕はその挑戦が大好きだった」「彼の仕事への姿勢を見るのもそうだし、クルマを降りたあとの楽しみ方を見るのもそうだ。彼は本当に良いキャラクターなんだ。10年経っても、その部分は何ひとつ変わっていない」いまでは、そんなアロンソと静かな共通点もあるという。「それに今では、もっと静かな共通点もある。日本にインスパイアされたタトゥーなんだ」「彼は背中に侍のタトゥーがあるし、僕には日本の書が入ったドラゴンのタトゥーがある。小さなつながりだけど、思い出すたびに笑顔になるよ」ホンダとともに刻んだ日本での思い出日本は、バトンのキャリアにおいて非常に大きな存在だった。特にホンダとの関係を通じて、多くの高揚と忘れられない記憶が...
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