ブリヂストンが、2010年に導入する新しいF1タイヤについて語った。今週行われたバレンシアF1合同テストは、チーム、ドライバー、関係者にとって、ブリヂストンが今シーズン用に開発した幅の狭い新ポテンザF1フロントタイヤの最終スペックを実際に目にする初めての機会となった。サイズが245/55R13の新フロントタイヤは、リム組みした状態で2009年スペックよりも20mm幅が狭く、2009年シーズン前に溝付タイヤからスリックタイヤに変更されたことによるF1マシンの車体バランスの変化を修正するよう設計されている。
バレンシアテスト用に用意したのはどのコンパウンドですか?その理由についても教えてください。バレンシアにはドライ用コンパウンドの中からソフトとスーパーソフト、そしてインターミディエイト、ウェットのスペックを用意しました。バレンシアは、路面はやや粗いものの他のコースほどタイヤに厳しくないため、ソフト側のコンパウンドを使うことができるコースです。その一方で、バレンシアで興味深い要素のひとつは、横Gによって発生するフロントタイヤのグレーニングであり、私たちにとってはフロントタイヤの耐グレーニング性能の評価に適したコースといえます。これはチームが来週テストを行うヘレスサーキットとは対照的です。ヘレスは特にリアタイヤに厳しいコースなので、次のテストではリアタイヤのパフォーマンスについてもっと徹底した確認作業を行うことができるでしょう。今年初のテストには7チームも参加しました。このテストでわかったことは何ですか?第一に2010年用スペックの良好なポテンシャルを確認できたことをうれしく思います。バレンシアサーキットは特殊なコースですから、本当のパフォーマンスを判断するのは少し難しいのですが。それでも、これまでのところタイヤは私たちの予想通りのパフォーマンスを発揮しています。2週連続で行う次のヘレステストでは、リアタイヤの挙動について理解を深めることができると期待しています。ヘレスの粗い舗装と厳しいレイアウトが、リアタイヤを試す絶好の機会を与えてくれるでしょう。次の2回のヘレステストではどのスペックを使うのですか?いずれのテストでもプライムコンパウンドとしてミディアムを使用し、1週目と2週目のオプションコンパウンドとしてハードとソフトを用意する予定です。ブリヂストンは今回なぜ幅の狭いフロントタイヤを開発したのですか?2009年シーズン前に溝付タイヤからスリックタイヤに変更する決定があり、リアタイヤと比べてフロントタイヤの接地面積が比例的に大きくなりました。このことでフロントタイヤのグリップ力が必要以上に大きくなってしまいました。しかし、チームは2008年までのフロントタイヤサイズに合わせて2009年用のマシンの設計を終えていたため、彼らの要請を受けて、幅の狭いフロントタイヤの導入を2010年まで待つことにしたのです。新しいフロントタイヤはどのくらい幅が狭くなったのですか?チームは新しいタイヤに適応するために特別な対策が必要でしたか?実際には2009年スペックよりも(ホイール幅を含めて)20mm幅が狭くなっています(2010年フロントタイヤサイズは245/55 R13)。そのためF1マシンのフロントからリアまでのバランスを改善することができるようになっています。チームから見ると、こうした新しいフロントタイヤを考慮し2010年用マシンの設計を実施したはずで、彼らにはマシンを設計するにあたりタイヤの力を十分引き出すため、特にリアの重量を増やすことを考慮するよう要請してあります。今シーズンに先立ちブリヂストンは他にどのようなタイヤの変更を実施しましたか?フロントタイヤのサイズが新しくなったためフロントのコンストラクションを若干改良し他点と、大きくは耐久性を高めるために行ったリアタイヤのコンストラクションの変更です。また2009年のコンパウンドレンジと比較するとスティント距離が長くなると予測されるため、ウォームアップまでの時間を短縮できるようタイヤコンパウンドも改良しました。ブリヂストンから見て、新しいタイヤスペックの設計、開発、製造にはどの程度の作業が関わっているのですか?新しいタイヤスペックを設計、導入するためには大変な努力が必要になります。まずタイヤが安全で高品質であることが極めて重要です。またタイヤは設計の意図通りに機能しなければなりません。昨年小平にある技術センターでは、タイヤ設計者とエンジニアが、プロトタイプと室内試験施設で行われる試験の厳格な品質基準と性能基準を満たす最終スペックを開発するため、非常に忙しく作業に取り組んでいました。こうしたリグ試験に合格したタイヤだけがマシンに装着して走ることを許されるのです。このプロセスでチームが果たしてくれた役割が大きかった事実も指摘しておく必要があるでしょう。彼らのシミュレーションデータは、私たちがタイヤを適正な荷重下に置くために極めて重要なものでした。このプロセスはまさに共同作業であり、私たちはレースやサーキットでタイヤが実際に走る様子を見ることを楽しみにしています。給油禁止ルールと予想されるスティント距離の延長によって、タイヤには新たな負荷がかかるのでしょうか?レースのスタート時に今年のマシンは昨年より100kg重くなる可能性があり、また重いガソリンを搭載した上、今までよりも長いスティントを走らなければならなくなることで、タイヤにはこれまで以上に負荷がかかるのは確かです。しかし、2010年用のケーシングは、特にリアコンストラクションを強化したこともあり、2009年よりもずっと耐久力が高まっているはずなので、F1マシンはこの新しいルールに適応することができるでしょう。2010年用マシンのダウンフォースはシーズンを通じて改善が進むでしょうから、私たちはこれからの冬季テストとレースで慎重にデータの監視と分析を続けていくつもりです。既に昨年と比べて発生するダウンフォースはずっと大きくなっています。ブリヂストンは2010年にどのように2種類のドライタイヤを分配する予定ですか?2009年同様に、多くのレースで、たとえばハードとソフト、ミディアムとスーパーソフトなどのように、隣り合わせではないドライコンパウンド2種類を組み合わせて用意するつもりです。しかしモナコなどいくつかのレースではこれは不可能になるでしょう。なぜならストリートコースではグリップ力を高めるために連続したソフト側のコンパウンドを使うことが重要になるからです。今年も、ブリヂストンがこれまでの経験とチームから受け取るデータに基づいてコンパウンドの分配を決定することになります。レースウィークエンドにドライバーが使...