2025年F1第21戦サンパウロGP決勝は、マクラーレンのランド・ノリスが今季7勝目を挙げ、ドライバーズ選手権でさらにリードを広げた。2位にはメルセデスのキミ・アントネッリ、そしてピットレーンスタートから怒涛の追い上げを見せたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)が3位に入った。序盤は波乱の展開となった。ポールポジションからスタートしたノリスは危なげない走りで首位をキープする一方、母国レースに挑んだガブリエル・ボルトレト(ザウバー)がバリアにクラッシュし、早々にセーフティカーが導入された。
再スタート後も混乱は続き、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)がブレーキングでロックし、アントネッリに接触。さらにその勢いでシャルル・ルクレール(フェラーリ)にも衝突し、ルクレールはダメージによりリタイアを余儀なくされた。ピアストリにはこの件で10秒加算ペナルティが科された。その後も戦略が分かれる展開となる中、フェルスタッペンは序盤のパンクから驚異的なリカバリーを見せ、レース後半には表彰台圏内にまで浮上。終盤、アントネッリとの間で手に汗握る2位争いを展開したが、わずかの差でアントネッリがキャリア初の2位フィニッシュを達成した。ノリスは10秒のマージンを築き、完璧な週末を締めくくった。4位にはメルセデスのジョージ・ラッセル、5位にはピアストリが続き、ペナルティがなければさらなる上位も狙えた内容だった。レーシングブルズ勢がダブル入賞、ハースも健闘ハースF1チームのオリバー・ベアマンが6位と健闘を見せ、チームに貴重なポイントをもたらした。レーシングブルズの2人も続き、リアム・ローソンが7位、アイザック・ハジャーが8位でフィニッシュ。最終ラップには両者の軽い接触があったが、スチュワードは「調査不要」と判断した。9位にはニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)、10位にはピエール・ガスリー(アルピーヌ)が入り、最後のポイントを獲得。アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)は惜しくも11位でポイント圏外に終わった。アルボンの後方にはエステバン・オコン(ハース)、カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ)が続き、フェルナンド・アロンソとランス・ストロール(ともにアストンマーティン)はそれぞれ14位と16位。間にはフランコ・コラピント(アルピーヌ)が15位で挟まれる形となった。角田裕毅(レッドブル・レーシング)はトラブルの多い一日となり、2度の10秒ペナルティを受けて最下位完走。最初のペナルティの履行ミスにより追加の10秒が科された。フェラーリ勢は2台とも完走できず。ルクレールはピアストリとの接触でリタイア、ルイス・ハミルトンは序盤の接触でフロアを損傷し、ピットでマシンを降りた。ハミルトンにも10秒ペナルティが科されており、チームにとっては“悪夢のサンパウロ”となった。ボルトレトはスタート直後、ストロールとの接触でクラッシュし母国GPをリタイア。スタンドを埋めたファンの前で無念の結末を迎えた。ノリスの独走、そしてアントネッリの台頭今回の勝利でノリスはドライバーズ選手権首位をさらに拡大。シーズン7勝目、かつブラジルGPではスプリントと決勝を制する完全勝利を達成した。一方、18歳のルーキー、キミ・アントネッリはキャリア初の2位を記録し、将来性を改めて示した。彼の落ち着きと守備力は、終盤のフェルスタッペンとの攻防で光った。フェルスタッペンはピットレーンスタートと序盤のパンクにもかかわらず、怒涛の追い上げで3位表彰台を獲得。セットアップ変更の賭けは功を奏したが、チャンピオンシップ争いではノリスとの差が広がり、逆転には厳しい状況となっている。マクラーレンはピアストリの速さも相まって、コンストラクターズ争いでも優位を維持。対してレッドブルは角田裕毅のノーポイントにより苦しい週末となった。今後の焦点:ラスベガスでの再戦次戦は2週間後のラスベガスGP。ナイトレースでの一発勝負となり、フェルスタッペンが巻き返しを図るか、ノリスが王手をかけるかが注目される。また、アントネッリの勢いが本物であることを証明する舞台にもなりそうだ。2025年F1サンパウロGP 決勝 順位・結果1.ランド・ノリス(マクラーレン)2.アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)3.マックス・フェルスタッペン(レッドブル)4.ジョージ・ラッセル(メルセデス)5.オスカー・ピアストリ(マクラーレン)6.オリバー・ベアマン(ハース)7.リアム・ローソン(レーシングブルズ)8.アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)9.ニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)10.ピエール・ガスリー(アルピーヌ)11.アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)12.エステバン・オコン(ハース)13.カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ)14.フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)15.フランコ・コラピント(アルピーヌ)16.ランス・ストロール(アストンマーティン)17.角田裕毅(レッドブル)DNF.ルイス・ハミルトン(フェラーリ)DNF.シャルル・ルクレール(フェラーリ)DNF.ガブリエル・ボルトレト(ザウバー)