2025年F1サンパウロGP初日、マクラーレン勢が圧倒的な速さを見せつけた。ランド・ノリスがスプリント予選でポールポジションを獲得し、チームメイトのオスカー・ピアストリが3番手につけるなど、タイトル争いで勢いを維持。一方、レッドブルのマックス・フェルスタッペンは6番手に沈み、セットアップに苦しむ1日となった。
メルセデスはキミ・アントネッリが2番手に食い込み、チームとして再び上位争いに加わった。アストンマーティンはフェルナンド・アロンソが5番手と健闘し、フェラーリは混乱の1日で中団に埋もれた。気まぐれなインテルラゴスの天候とともに、週末はまだ波乱の余地を大きく残している。ノリス、ピアストリに対して優位を維持ランド・ノリスはザントフォールトでメカニカルトラブルにより2位を失い、獲得できたはずの18ポイントを逃して以来、チャンピオンシップ争いで勢いを保ち続けている。その好調ぶりはブラジルでも続き、シーズン初のスプリントポールを獲得するまでのスプリント予選を通して、自信に満ちた走りを見せた。タイトルを1ポイント差で追うチームメイトのオスカー・ピアストリは3番手に留まったものの、ここ数戦に比べると内容的には格段に改善されており、依然として射程圏内にいる。マクラーレンのペースは総じて非常に印象的だった。低速コーナーでは最も近いライバルであるメルセデスに若干タイムを譲ったものの、高速区間ではアストンマーティンを除けば最速であり、さらにストレートでは大きなアドバンテージを持っていた。予選シミュレーションのデータ上では、マクラーレンは他チームを0.22秒引き離してトップに立っており、ロングランペースでも最速。週末において倒すべきチームはマクラーレンであることを示唆している。メルセデスが最大の脅威として浮上キミ・アントネッリはSQ1で15番手通過という不安定な出だしから見事に立て直し、SQ3では1周目に素晴らしいラップを決め、ポールポジションにわずか0.1秒届かない2番手に入った。最終アタックではターン10でロックアップを喫したものの、さらに上を狙えた可能性があった。ジョージ・ラッセルはそのペースには届かなかったが、2回目のアタックで改善し、アストンマーティンのフェルナンド・アロンソをわずか0.001秒上回って4番手を確保。これでメルセデスの2台がトップ4入りを果たした。トラックサイド・チーフのアンドリュー・ショヴリンは、FP1ではハードタイヤで「堅実な」ペースを見せた一方で、ミディアムでは苦戦していたとし、スプリント予選までに「適正なウィンドウに持ち込むことができた」と語った。データによれば、メルセデスは低速コーナーでマクラーレンに約0.2秒のアドバンテージを持ち、中高速区間でも互角のパフォーマンスを見せている。ショヴリンはまた、週末にかけて「難しいコンディション」が予想されることから「何も当たり前と思ってはいけない」と警戒を強めた。とはいえ、彼らが週末の表彰台争いに絡むのは確実と言える。レッドブル、ペース不足に困惑マックス・フェルスタッペンはスプリント予選で6番手に終わり、チャンピオンシップ争いで痛手を被った。4年連続王者はグリップ不足に苦しみ、「中盤セクターがひどい。マシンを曲げられない」と嘆いた。チームメイトの角田裕毅も同様にグリップを欠き、スプリント予選の早い段階で敗退を喫するなど、さらに厳しい1日を過ごした。テクニカルディレクターのピエール・ワシェは、マシンが「特にソフトタイヤで予想通りに動いていない」と認め、「まるで何かがおかしいように見える」と述べ、両マシンに共通する問題であることを明かした。レッドブルは予選シミュレーションデータ上ではメルセデスに僅差で続く3番手につけているが、マクラーレンとの差は0.25秒と大きい。タイトル維持を狙うフェルスタッペンにとっては厳しい現実だ。とはいえ、レースペースではマクラーレンとの差が縮まり、さらに週末には雨の予報もある。昨年、フェルスタッペンは17番手スタートからグランプリを制しており、希望を失うには早い。フェラーリ、苦難の1日で深刻な後退フェラーリはブラジルでの好成績を期待していたが、スプリントポール争いにはまったく加われなかった。シャルル・ルクレールはSQ2でスピンし、「マシンのフィーリングは悪くなかったが、とにかく遅かった。これまでのところ厳しい週末だ」と語り、8番手で終えた。チームメイトのルイス・ハミルトンはルクレールのスピンで発生したダブルイエローにより最終アタックを中断し、11番手に留まった。データによると、フェラーリはストレートでマクラーレンに対し0.5秒という大差を喫しており、全チームの中で最も遅かった。一方で中速コーナーではトップだった。全員が理想的なラップをまとめた場合のデータでは、ルクレールが10番手、ハミルトンが12番手と、実際より悪い順位になる結果も示されている。ただしロングランではトップとの差は0.18秒と比較的良好で、スプリントでは1〜2ポイントを狙える可能性があるが、それ以上を望むには「魔法」が必要かもしれない。アストンマーティン、“ベスト・オブ・ザ・レスト”を獲得今季のアストンマーティンにとっては厳しい戦いが続いている。チームは本来、トップチームとの差を縮めるはずが、逆に中団に沈み、コンストラクターズ7位に甘んじている。しかしこの日は明るい兆しが見えた。フェルナンド・アロンソは持ち前の巧さで5番手に食い込み、ランス・ストロールも7番手と健闘した。理想ラップデータによれば、アロンソは全セクターを完璧にまとめていれば2番手、つまりフロントロウに並んでいた可能性があり、予選データ上ではフェラーリを上回る4番手。チームズ選手権6位を争うレーシングブルズに対し0.1秒以上のリードを持っている。とはいえ、チームは浮かれることなく慎重な姿勢を保っている。今季、彼らは予選では好成績を収めてもレースでは苦戦する傾向があるためだ。ロングランペースではトップから0.6秒遅れの5番手とされている。それでも、スプリントでは両マシンがポイント圏内のトップ8に並ぶ好位置からスタートできるため、土曜に向けて非常に良い立場にいる。