キャデラックF1が2026年シーズンからF1に新規参戦するにあたり、チームを率いるバルテリ・ボッタスは「忍耐と冷静さが鍵になる」と語った。アメリカの自動車大手GMが母体となるこの新チームは、フェラーリ製パワーユニットを搭載し、セルジオ・ペレスとのコンビで挑む。GMが誇るブランドのF1参入はファンやメディアの注目を集めているが、ボッタスはフィンランド人らしい慎重な姿勢で、過度な期待を戒めている。2026年から導入される新レギュレーションの下、すべてをゼロから築く挑戦は容易ではない。
「“エキサイティング”という言葉がぴったりだね。今のところ計画は順調で、スケジュール通り進んでいることに安心している」とボッタスはオランダの『RacingNews365』に語った。「大きなトラブルはまだないけれど、ゼロから始めるのは本当に大変なことだ」初年度は“現実的な期待値”でハース以来となる新チームの誕生に向け、ボッタスは「最初の数カ月こそが重要」と強調する。「初年度に何を達成できるかよりも、まずは現実的であることが大切だ。期待値をマネジメントしなければならない」と述べ、「時間はかかるだろうが、僕はその覚悟ができている」と続けた。メルセデスのリザーブドライバーを務めた2025年を経て、36歳のベテランは「最初から大きな期待を持ちすぎない方がいい」と冷静に語る。「最初はどこに立っているのかを見極めることが大事で、最終的にどこまで到達できるかが重要なんだ」限られた関与と準備期間現時点でボッタスはメルセデスに在籍しており、キャデラックF1での活動には制約があるという。「もっと関わりたいけど、現段階では限界がある。必要な会議や意見交換はすでに済ませているよ」と説明。「オンラインでの打ち合わせはできるし、僕の過去のデータもチームに渡してある。すでにシルバーストンの施設も訪れているけど、今はペレスほど関与できない。とはいえ、今の雇用主はメルセデスだから、週末に備えるのが最優先だ」ペレスとの成熟したコンビかつてメルセデスとレッドブルの間で激しく競った二人だが、今では“冷静で成熟した関係”が築かれている。「発表の日に一緒に過ごしたけど、彼はとても落ち着いた性格で、協調して働けるタイプだと思う」とボッタス。「お互いチームを第一に考える姿勢があるし、衝突するよりも助け合える関係になるはずだ」慎重な船出を予告する経験値メルセデスやアルファロメオでの経験を経て、10勝を挙げたボッタスはF1が「速さと同じくらい忍耐を報いるスポーツ」だと知っている。彼の言葉通り、キャデラックF1の参入は壮大な挑戦だ。だが、経験豊富なドライバー陣と堅実なアプローチがあれば、チームは着実に歩みを進めるだろう。F1の新たな一歩を前に、ボッタスの冷静な見解は示唆に富む。華やかな期待の裏で、成功への最短ルートは「焦らず一歩ずつ進むこと」なのかもしれない。