2017年のF1世界選手権 第12戦 ベルギーグランプリが、8月25日(金)~27日(日)にスパ・フランコルシャンで行われる。スパ・フランコルシャンは、世界で最も多く憧れを集めるサーキットの一つ。高速セクションの連続するレイアウトは、平均時速233㎞とシーズン中最速の部類に入り、マシンとドライバーに厳しい試練を与える。
なかでも、象徴的なのが、F1で最もスリリングなコーナーと言える「オー・ルージュ」。左にやや曲がりながら進入し、右に切り返して丘を駆け上がる形のロングコーナー。約58mの高さを時速310㎞で上るため、ドライバーには進入時2G、右への旋回中は4.6Gの力がかかる。F1世界選手権が始まった1950年に開催されたサーキットのうち、今年もカレンダーにあるのはわずか4つだが、スパはその一つで、シルバーストン、モナコ、モンツァと並ぶ伝統のサーキット。コース全長は7.004㎞でカレンダー中最長。2番目に長いバクーとも約1㎞の差がある。今大会で、スパ・フランコルシャンでのベルギーGP開催は50回目となる。当初は一周14.863㎞という超ロングコースだった。このレイアウトで行われたのは1970年が最後で、ペドロ・ロドリゲスが平均時速241.3㎞で優勝。これは現在でもF1史上6番目の速さだ。その後、1983年に現行のレイアウトに近い、大幅にコースが短縮されたスパでグランプリが開催されるようになった。ここから31レースが行われているが、このうち28レースでチャンピオン経験者(勝利後にタイトルを獲得した選手も含む)が優勝。サーキットの偉大さを物語る結果だ。マクラーレンにとっては、1968年にブルース・マクラーレンによってグランプリ初優勝を果たした特別な場所でもある。以降、マクラーレンはベルギーで通算14勝を挙げ、直近では2012年にジェンソン・バトンが勝利している。2000年には、ミカ・ハッキネンがレースリーダーのミハエル・シューマッハに攻めかけると、ケメルストレートで周回遅れのマシンごとオーバーテイク。時速300㎞以上で3台が並ぶという、F1の歴史に残る見事なオーバーテイクを披露して勝利をつかみ取った。また、1998年にはウエットレースとなり、2番手を走行していたデビッド・クルサードが1周目のラ・スルス出口でスピン。ガードレールにヒットすると、後続もそこに突っ込み、13台がクラッシュして赤旗中断となった。【動画】 F1ベルギーグランプリ スパ・フランコルシャン サーキット解説OO.ready(function() {window.pp = OO.Player.create("player", "l0djFlYzE6CEQhoOiSMJeloP5UYBiGH5");});スパ・フランコルシャン全長7.004㎞※カレンダー中最長。2016ポールポジションニコ・ロズベルグ 1分46秒7442016ファステストラップルイス・ハミルトン 1分51秒583(40周目)ラップレコード1分47秒263 (セバスチャン・ベッテル、2009年)エンジニアリング高速コーナーとロングストレートで構成されるスパでは、高速走行時の安定性とトップスピードがカギとなる。グリップが増した2017年型のマシンでは、より少ないダウンフォースとすることが可能になると見られており、トップスピードはさらに速くなると思われる。ドライビングセクター1と3ではスロットルを踏み続けなければならない。オー・ルージュ、ブランシモンは長年にわたって全開で抜けるコーナーとして知られていたが、今年はターン10のプーオンも出口の縁石を使えば全開が可能になると思われる。また、ターン5、6、7の3連コーナーも難所。それぞれのクリッピングポイントをとらえないとスロットルを戻さざるを得ず、特にターン7ではその後に続くストレートでのスピードに影響が出る。マシンセットアップダウンフォースを低く設定。セクター1と3では多くの区間をフルスロットルで抜けるため、ストレートエンドでのスピードが重要になる。今年は車幅が広くなっているため、チームはトップスピード維持を目的に、さらにダウンフォースを削ることになるだろう。グリップレベル中程度。アスファルトはスムーズで滑りやすく、高速ではマシンの生み出すダウンフォースが増加する。コース上には3つのハードブレーキングゾーンがあり、スピードが緩んでダウンフォースが抜ける際のブレーキ安定性が重要である。タイヤウルトラソフト(紫)、スーパーソフト(赤)、ソフト(黄) ※この組み合わせは今季6回目 ターン1までの距離:265m(カレンダー中最長はバルセロナの730m)最長ストレート2.015km ※ラ・スルスからレ・コームへ向かう区間。カレンダー中2番目の長さトップスピード時速360㎞(ターン5への進入時) ※カレンダー中3番目スロットル全開率70% ※カレンダー中最大はモンツァの75%ブレーキ負荷低い。ブレーキングポイントは9カ所あるが、ハードブレーキングは3カ所のみ燃費1周あたり2.27㎏を消費。カレンダー中でも高めERSの影響低い。一周が長くブレーキングでエネルギー回生をする機会が多いギアチェンジ48回/1ラップ、2112回/レースベルギーグランプリ周回数44ラップスタート時間現地時間14時(日本時間21時)グリッドターン1への距離が短く、グリッドによるアドバンテージはあまりない。ポールポジションはレーシングライン上にないが、右側でターン1のイン側にあたる。DRSゾーンは2つ。ターン1へ向かうストレートと、ターン5へ向かうストレート。ピットストップ昨年はケビン・マグヌッセンがオー・ルージュでクラッシュしたことで、9周目に赤旗中断となり、戦略に大きな影響を与えた。優勝したニコ・ロズベルグは2ストップを採用し、1スティントでソフト、2スティントでミディアムタイヤを使用した。今年はピレリがより柔らかいコンパウンドを持ち込んでいるため、チームが金曜のフリー走行でタイヤを評価するまで戦略は不透明。ピットレーン390m。1回のストップでのタイムロスは約20秒。ただし、ピットレーンはヘアピンであるラ・スルスをショートカットする形になっているため、タイムロスは少ない。セーフティカー出動率は80%と高い。スパでのアクシデントはほとんどが高速で起こるため、パーツが飛び散りやすく、その清掃に時間を要するほか、天候によってセーフティカー導入となる可能性もある。1997年にはスタート前に豪雨となり、F1で初めてのセーフティカースタートとなった。注目ポイントターン10。2つのクリッピングポイントを持つ、180°の左コーナーで、昨年の通過スピードは時速290㎞。グリップを増した今季型マシンではさらなる高速化が期待される。ドライバーはここを素早く抜けるため...
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