F1第11戦オーストリアGPの金曜走行がレッドブル・リンクで行われ、20台のF1マシンがシュタイアーマルクの丘陵地にエンジンサウンドを響かせた。昨年はマックス・フェルスタッペンとランド・ノリスが首位争いの末に接触し、最終的にジョージ・ラッセルが優勝を飾ったこの地で、再び接戦の週末が幕を開けた。
マクラーレンが初日トップ、ノリスはFP2で即座に順応午前のFP1ではメルセデスのジョージ・ラッセルが最速を記録したが、午後のFP2ではマクラーレン勢が主導権を握った。ノリスとオスカー・ピアストリがともに好調なパフォーマンスを見せ、チームが持ち込んだ新たなアップグレードが奏功した格好だ。マクラーレンは、カナダで導入された新型フロントウイングに適合する形で修正されたシュラウド(空力カバー)など、さらなる空力変更をオーストリアに投入。ノリスは引き続き新ジオメトリー仕様を使用した一方、ピアストリは旧仕様を選択している。FP1をアレックス・ダンに譲ってピットウォールから見守ったノリスは、FP2でいきなりタイムシートのトップに躍り出た。特に予選・決勝の双方で好ペースを披露し、データ上では理想ラップにあと0.2秒残していたと分析されており、さらなる伸びしろも感じさせている。メルセデスは依然上位争い圏内カナダで金曜トップに立っていたメルセデス勢にとって、今回はやや控えめな滑り出しとなったが、それでもポディウム争いには食い込んでくる勢いを保っている。ラッセルは「マクラーレンは本当に強力だった」と認めつつ、「ポール争いは難しい」と現状を分析。ただ、レッドブル・リンクは10コーナーのみ、1分少々で1周を走り切るため、僅かな差が明暗を分ける可能性も高い。一方、チームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリはFP2で2度にわたって妨害を受けたことに不満を漏らしながらも、まだ予選ペースの向上余地があると前向き。実際にデータ上では予選・決勝ともにレッドブルを僅差で上回っており、好位置をキープしている。フェルスタッペン、6連続ポールへ視界良好マックス・フェルスタッペンはFP2で3番手につけ、連続ポールポジション記録を6に伸ばすべく好調な滑り出しを見せた。短・長距離走行ともに「少しアンダーステアが強かった」と振り返ったものの、「大きな問題はなかった」とコメント。今回はレースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼが不在で、代役としてサイモン・レニーが務めているが、2人は以前からの関係性もあり、スムーズな連携を披露した。また、フェルスタッペンはこれまで金曜から土曜にかけての調整で飛躍的に改善を見せており、予選での一発には引き続き期待が集まる。チームメイトの角田裕毅も、FP2で「高速度域でのアタックに自信を持てるようになった」と好感触を語っており、土曜以降の成績次第ではダブル入賞の可能性も見えてくる。フェラーリは新型フロア投入も様子見段階スクーデリア・フェラーリは、オーストリアGPに向けて大規模なフロアアップグレードとディフューザー改良を実施したが、金曜終了時点ではその効果にはまだ確証が持てない。FP1ではジュニアドライバーのディノ・ベガノヴィッチが出走し、FP2から復帰したシャルル・ルクレールはコースオフを挟みつつも5番手タイムをマーク。ルクレール自身は「期待通りにアップグレードは機能している」と述べたが、予選ペースではトップ3に0.3秒以上の差をつけられており、依然として4番手集団に位置している。決勝ロングランではやや改善が見られるものの、まだ上位3チームの背中は遠い。ハミルトンにトラブル発生、巻き返しなるかフェラーリのルイス・ハミルトンは、FP1でギアボックスのトラブルにより走行時間を失う不運に見舞われた。FP2では交換して走行を再開したものの、「クルマの感触は悪くないが、ペース的には大きく遅れている」と危機感をにじませた。それでも「一晩であとコンマ1秒を見つけられればチャンスはある」と語り、巻き返しを誓っている。