2025年F1 オーストリアGPが、6月27日(金)~6月29日(日)の3日間にわたってレッドブル・リンクで開催される。公式タイヤサプライヤーのピレリが2025年のF1世界選手権 第11戦 オーストリアグランプリのタイヤについて解説した。F1はカナダを終え、再びヨーロッパへ。夏休み前までに6週間で4戦が予定される激動のヨーロッパラウンドが、今週末のF1オーストリアGPでスタートする。
通常フォーマットに回帰した週末構成舞台はオーストリアの山岳地帯、シュピールベルクに位置するレッドブルリンク。レッドブルの所有するこのサーキットで、再び白熱のバトルが繰り広げられる。過去3年はスプリントフォーマットが採用されていたが、2025年は通常の週末形式に回帰。金曜に2回のフリー走行、土曜午前にFP3、夕方に予選、そして日曜に決勝というスケジュールで進行する。タイヤ選択と戦略の焦点ピレリが今大会に持ち込んだのは、C3(ハード)、C4(ミディアム)、C5(ソフト)という最も柔らかい3種の組み合わせ。これは前年と同様の選択だ。レッドブルリンクの路面は古く、摩耗は激しいものの、タイヤの寿命に直結するほどのものではない。コーナー数が少ないため横方向の負荷は小さいが、強めの加減速ポイントが多く、特にリアタイヤの熱管理が求められる。気温・路面温度が高くなりやすいこの時期、オーバーヒートのリスクは大きい。2024年のレースでは、大半のドライバーがミディアムタイヤでスタートし、2ストップ戦略が主流だった。ソフトタイヤ(C5)は終盤の一部ドライバーにのみ使用され、主にファステストラップ狙いだった。レイアウトと気候変動の複雑さレッドブルリンクは現在のF1カレンダー中、最もコーナー数が少なく(10)、ラップタイムも最短(2020年、バルテリ・ボッタスが記録した1分02秒939が最速)。高低差は63.5メートルでスパに次ぐ大きさ。第1セクターは上り勾配のストレート主体、第2セクターはターン3での急ブレーキングから下り区間へ続き、第3セクターは再び上りの後に高速2連コーナーが待ち受ける。3つのDRSゾーンにより、オーバーテイクのチャンスも豊富な、アクション満載のレースが期待される。2輪・4輪問わず開催頻度が高いサーキットのため、週末初日からラバーが乗っていることも多い。ただし、山間部特有の急変する天候には常に警戒が必要だ。タイヤの「ポロシティ(多孔性)」とブリスターのリスクF1タイヤは強烈な加減速や高温ストレスにより、表面に微細な空洞=ポロシティが生まれることがある。この状態が悪化すると、タイヤ内部でガスや蒸気が発生し、やがてブリスター(表面の気泡や穴)に進行。とくにラバーが乗っていない状態の路面、高温、多角的なドライビングスタイルではこの現象が顕著となる。オーストリアGPの歴史と記録今年で第38回を迎えるF1オーストリアGP。F1としては通算40回目のシュタイアーマルクでの開催となる。初開催は1964年、現在のレッドブルリンクにほど近いツェルトヴェク空軍基地でのレースだった。1970年からはオーストリアリンク、1997年からA1リンクと名称を変え、2014年以降はレッドブルリンクとして定着。2020年と2021年にはコロナ対応で2連戦が行われ、「シュタイアーマルクGP」も開催された。最多勝はマックス・フェルスタッペンの5勝(オーストリアGP4勝+シュタイアーマルクGP1勝)。ポールポジション5回、表彰台8回と、すべての主要部門でトップに立つ。過去には計26人が勝利しており、そのうち11人はF1ワールドチャンピオン経験者だ。最多勝チームはメルセデスの7勝。オーストリアGP単体ではフェラーリ、マクラーレン、メルセデスが3勝ずつで並ぶが、2020年のシュタイアーマルクGPをルイス・ハミルトンが制したことで、メルセデスがトータル最多となっている。ポールポジションはフェラーリが8回で最多、表彰台数でも29回でトップに立つ。チャンピオン争いの行方にも影響レースの舞台、チーム戦略、そして変化に富む天候と、あらゆる要素が揃ったオーストリアGP。チャンピオン争いの行方にも大きな影響を及ぼす今週末の戦いから、目が離せない。
全文を読む