世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は3月11日(水)にジュネーブの本部で会見を開き、新型コロナウイルス(COVID-19)が世界的な大流行を意味する「パンデミック」に分類されると宣言。2020年のF1世界選手権の開催にさらなる影響を与えかねない状況となった。WHOによると、新型コロナウイルスへの感染者は110カ国で確認され、感染者は計約11万人、死者は4千人超に上っている。
WHOはこれまで「パンデミック」は国境を越えた感染が制御できず、世界中の誰もが感染の危険にさらされる状態を指している。WHOが新型コロナウイルスをパンデミックと認定したことにより、加盟国に新たに対応を強めるよう要請する根拠が発生したことになる。F1はすでに4月に上海で開催予定だった第4戦F1中国GPを延期、第2戦F1バーレーンGPを無観客レースとして開催することを決定。また、F1のCEOを務めるチェイス・キャリーが第3戦の開催地であるベトナムへ飛んで緊急会議を開き、今週末にも延期を発表することが決定されたとも報じられている。F1は今週末メルボルンのF1オーストラリアGPで開幕するが、すでにマクラーレンとハースの3名のスタッフが新型コロナウイルス感染の疑いがあるとして自己隔離の状況にある。また、メルボルン市内のアルバート・パーク・ホテルのゲストの一人が新型コロナウイルスに感染。ホテルはすぐに閉鎖され、すべてのスタッフは自宅で2週間検疫を行うように指示されている。F1オーストラリアGPの主催者は、レースは予定通り開催するとしながらも、ファンとF1ドライバーとの濃厚接触を制限するためにすべてのサイン会をキャンセルしている。ただし、レースを無観客で行うことはないと今のところは主張している。F1は、レースを新型コロナウイルスによる不可抗力によってキャンセルせざるを得ない状況になると多額の損失を出すことになり、なんとしてでも開催をしたいと考えている。報道ではF1中国GPが中止となった場合は4700万ドル(約47億円)の損失を出すとされ、レース数が増えるごとにその損失は掛け算で増えていく。だが、ヨーロッパでの開催は5月からとなるが、フェラーリやアルファタウリ、ピレリが拠点とするイタリアでは全土で移動制限が4月3日まで施工されており、今回、パンデミックと宣言されたことで、F1側としても対応を求められることは必至だ。