アウディは、2013年のル・マン24時間レースでquattroシステム搭載のハイブリッドマシン“アウディ R18 e-tron quattro”による2度目の優勝、通算12回目の総合優勝を成し遂げた。当初から予想されていた通りアウディによる12回目の優勝獲得への道は、これまでになく過酷で困難なものだった。
レギュレーション変更により、アウディ R18 e-tron quattroはライバルのトヨタに比べ、満タンの燃料で走れる距離が平均で2ラップも少なくなり、より多くのピットストップで消費する時間を補う為に、アウディのドライバー達は更に速く走ることを求められる中、その困難な課題を見事に克服した。今年は度重なる雨に見舞われ、混乱の多い展開となった。雨は数多くのアクシデントを引き起こし、セフティカーが合計11回も投入され、さらにコース改修など合計5時間以上もイエローコーションとなった。フロントアクスルを電気で駆動する3台のアウディ R18 e-tron quattroは24時間をもっとも速く、もっとも低燃費で走り続け、その功績によりクリーンで速く、そして低燃費で走るプロトタイプカーに与えられるミシュラン グリーンXチャレンジの栄誉にも輝いた。今年も現地でレースを観戦していたアウディ AG取締役会会長ルパート シュタートラーは以下のように述べた。「エンジニア達の革新的精神、チーム全員が持っていた高い責任感、そしてドライバー達の高い技術と極度の緊張にも打ち勝つ強い精神力に支えられ、アウディは12回目のル・マン優勝を達成することが出来ました。アウディ全社を代表して今回の勝利に貢献したすべての人々へ、心から感謝と祝福の意を表します。今回の偉業達成によりアウディが誇るハイブリッドシステムや最新のテクノロジーが、将来のクルマ作りに大きく貢献することを確認出来ました」革新的ラジエーター、夜間にコーナーをより明るく照らすマトリックスビームLEDヘッドライトなどの技術が、ル・マンで大きなアドバンテージを生み出していた。「レギュレーションだけでなく、今年はいくつもの理由でとても厳しいレースになるだろうと考えていました。その予想通りトヨタは強力なライバルでしたが、我々のアウディ R18 e-tron quattroは、見事に戦いを制しました。この成功を獲得するまで何ヶ月も準備を続けてきたチーム全員に感謝しています」とアウディモータースポーツ代表Dr. ヴォルフガング・ウルリッヒはコメント。アウディに12回目のル・マン優勝をもたらしたのはポールポジションからスタートした、2号車のロイック・デュバル、トム・クリステンセン、アラン・マクニッシュのトリオだった。予選でポールポジションを記録したデュバルは今回がル・マン初優勝となった。アラン・マクニッシュは3回目、トム・クリステンセンは1997年の初優勝からル・マン最多優勝を誇りその記録を9回に伸ばした。優勝した2号車のアウディ R18 e-tron quattroは一切のメカニカルトラブルに見舞われずに24時間を走り切った。デュバル / クリステンセン / マクニッシュの3人は、土曜日の夜9時43分にトップに立ち、そこから日曜日の午後3時のゴールまで一度もトップの座を明け渡すことなく走り続け。彼らはレース序盤で2番手を走るライバルのトヨタに1ラップのアドバンテージを作り出すとその後の激しい雨による混乱の連続をものともせず、そのリードを最後まで守りきった。他のアウディ R18 e-tron quattroは、レース開始から7時間が経とうとする頃、ほぼ同時に不運に見舞われ予定外のピットストップを余儀なくされ、それまで保っていたアウディの1-2-3番手走行が途絶えてしった。オリバー・ジャービスは他のマシンに衝突され、その弾みでタイヤがパンク。その後ピットに戻るためにほぼ1周をパンクした状態で走行せざるを得なかったため、トップに2ラップの遅れをとってしまった。しかし、ル・マン初出場のルーカス・ディ・グラッシ、マルク・ジェネ、そしてオリバー・ジャービスのトリオは破竹の追い上げを見せレース終盤にトヨタを抜いて3位に浮上し、その後はポジションを守りきり、表彰台を獲得した。マルセル・ファスラー、アンドレ・ロッテラー、ブノワ・トレルイエのトリオは、オルタネータ交換作業によって一時的に12ラップ遅れの24位まで順位を下げたが、2011年および2012年の勝者である彼らは、レース終了時にはその順位を5位まで回復させた。Dr. ヴォルフガング・ウルリッヒ (アウディモータースポーツ代表)「これまで15年に渡り参加してきたル・マンの中で今年が最も過酷なレースでした。その理由のひとつが、レース開始直後にアラン シモンセンの悲劇に直面したことであることは言うまでもありません。我々は彼の家族と同様の悲しみに打ちひしがれました。同時に、レース展開も厳しいものでした。24時間を通じて目まぐるしく変わる天候により、刻々と変化する状況に対応し続ける必要がありました。これによって、ピット周辺のスタッフ全員が、わずかな休憩も取れずに動き続けていました。2度と経験したくない過酷な状況でした。そんな厳しい状況にも関わらず、チームクルーはすべて、完璧で素晴らしい働きをしてくれました。私は、彼らと共にル・マンを戦えたことを誇りに思っています」クリス レインケ (LMPプロジェクトリーダー)「混乱に見舞われたレース序盤から、我々は素晴らしいバトルを繰り広げました。数多くのテクノロジーが、これまでになく過酷な天候に打ち勝ち、最後まで素晴らしいレースを支えていました。この様な状況になることもあろうかと、我々は最善の準備を調えてレースに臨み、その結果としてアウディ R18 e-tron quattroが表彰台のトップを獲得することが出来ました」ラルフ・ユットナー (アウディスポーツ チームヨーストのテクニカルディレクター)「今年のレースは、悪天候によるセフティカー ピリオドが度重なり、これまで経験したことのない混乱に見舞われました。展開の予測はまったく不可能でした。そのおかげで最後まで気の抜けないスリリングなレースとなりました。我々のマシンは、本当に非の打ち所がなくトヨタを相手に勝利を収めることが出来ました。我々のマシンならライバルに充分に勝てると考えてはいましたが、2号車がその考えが正しかったことを証明してくれました。トム・クリステンセンの9回目、アラン・マクニッシュの3回目、そして何よりロイック・デュバルの初優勝を祝したいと思います。これまで感じた...