電動パワートレーンによるレースシリーズ、フォーミュラE選手権の第9戦が5月19日にドイツのベルリンで開催された。ホームレースとなるこの大会で、アウディは完全優勝を果たした。Team Audi Sport ABT Schaeffler(チーム アウディ スポーツ アプト シェフラー)は、ポールポジション、1-2フィニッシュ、ファステストラップのすべてを達成し、ePrix史上初となるフルポイントを獲得した。
ダニエル・アプトは、熱狂的な観客が見守る中、テンペルホーフ空港の跡地に特設されたコースで見事な勝利を収めた。この25歳のドイツ人ドライバーは、ホームレースで完璧なパフォーマンスを披露した。アプトは、予選では不利な第1グループからの出走となったにもかかわらず、上位5台で争われる最終予選の“スーパーポール”へ楽々と進出。自信溢れる走りで、フォーミュラEで自身2度目のポールポジションを決め、最初の3ポイントを獲得した。決勝レースでも圧倒的な強さを見せ、ファステストラップも記録して勝利に華を添えた。ダニエル・アプトは、ドイツ連邦交通大臣のアンドレアス・ショイヤーから優勝トロフィーを授与された後、次のようにコメントしている。「これまでのキャリアで一番重要な勝利ではないか思います。最初から最後まで信じられないような1日となりました。ポールポジション、優勝、ファステストラップ、さらには1-2フィニッシュも決めてフルポイントを獲得することができました。僕たちをサポートしてくれたすべての人に感謝します。これまで経験したことがないほどの喜びを感じています」今回のレースでは、ルーカス・ディ・グラッシが2位に入り、アウディが完全優勝を果たした。ディフェンディングチャンピオンのディ・グラッシは、Audi e-tron FE04を駆ってグループ予選でファステストラップを記録したものの、スーパーポールセッションではスリップによる僅かなタイムロスが響き、決勝レースは5番グリッドからのスタートとなった。しかしディ・グラッシは、スタート後に素晴らしい追い上げを見せ、12周目には2番手にポジションを上げる。さらに、素早いピットストップによってチームメイトのアプトに追い付く。その後は安定したレース運びで、このレースで3位に入ったジャン-エリック・ベルニュ(テチーター)に12秒以上の大差をつけて2位でチェッカーフラッグを受けた。4戦連続で2位表彰台を獲得したルーカス・ディ・グラッシは「最初にダニエルを祝福したいと思います。彼は、優勝にふさわしい走りを見せてくれました。アウディのマシンは圧倒的に速く、有利にレースを進めることができました。あとは、勝利をかけてチームメイトと競うだけでした。ピットストップ後に、ダニエルの直後に追い付いたのですが、セカンドカーにトラブルが発生してしまいました。後で原因を究明する必要があります。しかし、アウディの悲願であった1-2フィニッシュを達成することができました。シーズン開幕当初は思うような結果を出すことができませんでしたが、現在アウディは、チャンピオンシップでチーム部門2位となっています」と語った。ドライバーズ部門では、ダニエル・アプトが3位とわずか1ポイント差の4位、ルーカス・ディ・グラッシが6位につけている。今シーズンは、スイスのチューリッヒ(6月10日)、ニューヨーク(7月14日、15日)の3戦を残すのみとなっている。アウディ モータースポーツ代表のディーター・ガスは「素晴らしいレースでした。ファクトリーチームとしてフォーミュラEに参戦して以来、初めての1-2フィニッシュを飾ることができました。しかも、それをホームレースで達成できました。ダニエルは最高のパフォーマンスを示し、ルーカスもそれに続いて、完璧な1日となりました。ハードワークを続けてくれたすべてのスタッフに感謝したいと思います。混戦が続いているフォーミュラEで、このように圧倒的な差がつくのは非常に珍しいことです」とコメント。チーム代表のアラン・マクニッシュは「ベルリンで1-2フィニッシュなんて、信じられないほど嬉しいことです。テンペルホーフのホームレースで完全優勝して、これ以上ない1日となりました。チーム全員を大変誇りに思います」と述べた。関連:【フォーミュラE】 第9戦ベルリン 決勝:ダニエル・アプトが優勝
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