フォーミュラE選手権の第7戦が、4月14日にイタリアの首都ローマで開催された。このレースで、Team Audi Sport ABT Schaeffler(チーム アウディ スポーツ アプト シェフラー)のルーカス・ディ・グラッシが2位表彰台を獲得し、チームメイトのダニエル・アプトも4位でチェッカーを受け、シーズン後半戦に向けて反撃を開始した。予選では十分な走りをすることが出来なかったアウディの両ドライバーは、それぞれ6番および9番グリッドからのスタートとなった。
ディ・グラッシは、予選のタイムアタックでわずかなミスを犯し、上位5台で争われる最終予選の“スーパーポール”へ進出することはできなかった。アプトは、予選でタイヤのグリップに苦しみ9番手となった。しかし、アウディの両ドライバーは、これまでのレースで最長となるこの市街地コースでは、マシンの速さが重要なポイントになると確信していた。3万人の熱狂的なファンとAUDI AG取締会会長ルパート・シュタートラーが見守る中、彼らは印象的な走りでその期待に応えた。レース前半、アプトとディ・グラッシは巧みにエネルギーを温存して、マシン交換までに他のライバルよりも1周多く走行することに成功した。ピットストップ終了後、トップのマシンとは10秒以上の差があったが、両ドライバーは見事なオーバーテイクで先行するマシンを1台ずつかわして、順位を上げていった。レース終了直前に、ディ・グラッシはトップを走行するサム・バードの直後に迫り、激しいバトルを展開したが、惜しくも0.970秒差で2位となった。ディ・グラッシは「ローマで開催されたフォーミュラEで、表彰台に上がることができて大変嬉しいです。スタート直後に8番手まで後退してしまったので、2位という結果に満足しています。素晴らしいレースでした。アウディの全スタッフとFanBoostで僕に投票してくれたファンの皆さまに感謝します。今回のレースでは、セバスチャン ブエミをオーバーテイクするときに、ブースト機能を使いました。」とコメント。アプトは、スタートでチームメイトの前に出たが、その後のピットストップで手間取り、再びディ・グラッシが先行する展開となった。さらに、レース前半にはピットと交信するための無線が使えないトラブルも発生した。アプトは「ピットと交信できなかったので、完全に孤立状態となり、エネルギー管理に関する情報を受け取ることができませんでした。いずれにしてもマシンは速く、セカンドカーではトラブルは発生しませんでした。セバスチャン ブエミとアンドレ ロッテラーは、簡単には抜かせてくれませんでした。この2台をオーバーテイクするのに、かなり手間取ってしまいました。あと1周あれば、表彰台を獲得できたと思います。それでも、予選9番手からスタートして、貴重なポイントを稼ぐことができて大変嬉しく思っています。ファステストラップも記録することができました。」と語った。チーム代表のアラン・マクニッシュは「今日のレースは、手に汗握る展開となりました。レース終了間際は、トップ3台の接近戦となり、ルーカスが優勝するのか、それとも3位になるのか、まったく分からない状態でした。最終的には2位と4位でフィニッシュして、ダニエルはファステストラップも記録することができましたので、大変嬉しく思っています。パリで開催される次のレースを今から楽しみにしています。」コメント。アウディ モータースポーツ代表のディーター・ガスは「素晴らしいヨーロッパシーズンのスタートを切ることができました。ローマというロケーションは最高の舞台で、コースの状態も良好でした。レースは波乱の展開となりましたが、良い結果を出すことができました。予選のグリッドを考えると、素晴らしいレースだったと言えるでしょう。」と述べた。第7戦を終了して、合計50ポイントを獲得したアプトは、ドライバーズランキングで5位となっており、39ポイントのディ・グラッシは8位につけている。チームランキングは、4位にポジションを上げた。今回のレースで31ポイントを獲得したTeam Audi Sport ABT Schaefflerは、ローマでもっとも成功を収めたチームとなった。アウディはローマで、フォーミュラEのレーシングタクシーとして、未来的な電気自動車のレーシングカーコンセプトAudi e-tron Vision Gran Turismo(ビジョン グラン ツーリスモ)を発表した。このマシンに同乗してサーキット走行を体験したゲストの中には、フォーミュラE CEOのアレハンドロ・アガグとAUDI AG取締会会長ルパート・シュタートラーも含まれていた。第8戦は、2週間後の4月28日に、フランスのパリで開催される。次のレースでも、Audi e-tron Vision Gran Turismoがサーキットに登場する。