アストンマーティン・ホンダF1のフェルナンド・アロンソにとって、2026年シーズン後半戦は大きな転換点となる可能性がある。夏休み明けのF1オランダGPでは、ホンダの改良型パワーユニットと大幅刷新された「Bスペック」マシンが投入される予定だ。一方で、パドックでは「40~50馬力向上」といった大幅な性能改善の噂も飛び交っている。しかし、ホンダ首脳や関係者の見解を総合すると、その数字には慎重な見方が示されており、現実的な改善幅は限定的になるとみられている。
ホンダの新PUに「40~50馬力向上」説が浮上ベルギーGPを前に、アストンマーティン・ホンダF1の今後のアップグレード計画が注目を集めている。ホンダはシーズン開幕から苦戦が続いており、エンジン性能とマシン性能の両面でライバル勢に後れを取っている。だが、夏休み明け最初のオランダGPでは、改良型パワーユニット「RA626H」と、新設計の「Bスペック」シャシーが同時投入される予定となっている。スペイン紙『MARCA』はシルバーストンのパドックで、「40~50馬力向上」という噂が関係者の間で飛び交っていたと報じている。 一部では新PUによって大幅な性能向上が実現するとの見方もあった。しかし、MARCAがその後に得た別の情報では、この数字は誇張されている可能性が高く、現在の開発制度の下では実現は困難との見方が示されている。ADUO制度では大幅な馬力向上は困難現在のF1では、性能が劣るパワーユニットメーカーを支援するため、FIAが「ADUO(エンジン開発支援制度)」を導入している。ホンダは、この制度によりガソリンエンジン(内燃機関)部分で2回の性能改善が認められている。ただし、改良できる範囲には厳しい制限があり、短期間で数十馬力もの性能向上を実現することは容易ではない。ホンダには別の改善手段も残されている。ERS(エネルギー回生システム)の信頼性向上や制御ソフトウェアの改良、バッテリーやエネルギーマネジメントの最適化といった電動系の改善は、性能だけでなく実戦での使いやすさにも直結する重要なアップデートとなる。ホンダは依然としてレッドブル・フォードに約60馬力届かず関係者の間では、ホンダの内燃機関は現在、レッドブル・フォードの基準エンジンに対して約60馬力劣っているとの見方がある。もし今回のアップデートだけで40~50馬力を取り戻せるのであれば、一気にメルセデスやフェラーリと肩を並べる、あるいは上回る計算になる。しかし、そのような急激な性能向上はホンダ自身も想定していないという。そのため、40~50馬力向上という数字は現実的ではなく、パドックで独り歩きしている噂に過ぎないとの見方が有力だ。ホンダ首脳「奇跡は存在しない」ホンダF1のチーフエンジニアを務める折原慎太郎は、夏休み明けに投入される進化版について「改善幅は控えめになる」と繰り返し説明している。今回のアップデートは2027年型エンジン開発へ向けた第一歩という位置付けだ。燃焼技術ではメルセデスやレッドブル・フォードが採用している考え方を取り入れ、2027年以降の改良型エンジン、さらに2027年・2028年に予定されるレギュレーション変更への対応を見据えた基盤づくりが主な狙いとなる。来季以降は燃料流量の増加やハイブリッド出力比率の変更も予定されており、その変化を見据えた長期的な開発が進められている。折原は「奇跡は存在しない」と何度も強調しており、短期間で劇的に勢力図を書き換えるような性能向上にはならないとの認識を示している。まずは中団最後尾との差を縮めることが現実的な目標アストンマーティン・ホンダF1は、2026年シーズンを通してトップ争いから約2秒遅れという厳しい状況に置かれてきた。そのため、新PUとBスペックシャシーによる目標は、いきなりトップチームに迫ることではない。まずはウィリアムズやハースが位置する中団後方グループとの差を縮め、互角に戦えるレベルまで到達することが現実的な目標となる。もしそれを達成し、さらに上回ることができれば、現在の戦力差を考えれば十分に成功と評価できるだろう。現時点で40~50馬力向上による大逆転を期待するのは現実的ではなく、ホンダも着実な積み重ねによって競争力を高めていく姿勢を崩していない。アストンマーティン・ホンダF1はオランダGPで新PUとBスペックマシンを投入する予定だが、ホンダ首脳は性能向上は限定的との見方を示している。まずはウィリアムズやハースと互角に戦えるレベルまで戦闘力を引き上げることが現実的な目標であり、今回のアップデートは2027年以降を見据えた開発の第一歩として位置付けられている。【関連】・アストンマーティン・ホンダF1 コストキャップがアップグレード計画に制約