アストンマーティン1チームは、若手ドライバーのジャック・クロフォードがF1メキシコGPで初めてF1週末に出走し、フリー走行1回目(FP1)でAMR25をドライブすることを正式発表した。テキサス出身の20歳クロフォードは、メキシコシティのエルマノス・ロドリゲス・サーキットでランス・ストロールに代わってFP1を担当し、FP2からストロールがマシンに戻る。
今回の起用は、F1の規定に基づく「ルーキードライバー起用枠」の一環であり、チームにとって貴重なデータ収集と若手育成の機会となる。クロフォードはこれまでにAMR22、AMR23、AMR24を使用して通算2000km以上を走行しており、F1マシンでの経験を積んできた。さらに、シルバーストンのAMRテクノロジー・キャンパスではシミュレーター作業にも常時関わり、AMR25および次期マシンAMR26の開発に技術的フィードバックを提供してきた。また、2024年にはヒューストンで行われたデモ走行や、フェルナンド・アロンソとともにアラムコのイベントで新スペシャルリバリーを発表するなど、アストンマーティン・アラムコの活動にも積極的に参加している。現在クロフォードはFIA F2選手権でランキング2位につけており、直近のバクーではポールポジションからフィーチャーレース優勝を果たしている。ジャック・クロフォード「メキシコでAMR25をドライブし、初めてのF1公式セッションに臨めることを本当に楽しみにしている。今年はチームと密接に協力してきたので、グランプリ週末に実際の走行時間を得て次のステップに進めるのはとてもエキサイティングだ。地元テキサスでこの発表ができたことも特別だし、ヒューストンでの忙しい一週間を経て実現できたのは最高だ」とクロフォードは語った。アンディ・コーウェル(アストンマーティンF1チーム代表)「ジャックにメキシコでのFP1出走の機会を与えられるのは素晴らしいことだ。彼は今年を通じて非常に成熟した姿勢を見せ、強力な技術的フィードバックを提供してくれた。こうしたセッションは若手育成の重要なプロセスの一部だ。ジャックはF2でも優れたシーズンを送っており、AMR25とAMR26の開発において重要な貢献者でもある。今回の走行は彼にとってさらなる成長のチャンスであり、我々にとっても貴重なデータを得る好機になる。」分析:アストンマーティンの若手育成戦略とクロフォードの将来性アストンマーティンは、アンディ・コーウェル体制となって以降、育成ドライバーの実戦経験拡大を重視しており、今回のFP1出走はその方針の象徴といえる。チームは2026年以降のF1新時代を見据え、フェルナンド・アロンソに続く次世代ドライバーの育成に力を注いでいる。クロフォードはアメリカ出身の若手として高い評価を受けており、F1における「次のアメリカ人ドライバー」としての期待も大きい。特に、2026年に参戦予定のキャデラックF1チームが経験重視の布陣を選択した今、彼がアストンマーティン内でチャンスを掴むことは、将来のF1キャリアにとって重要なステップとなる。メキシコGPでのFP1走行は、チームへのフィードバック能力とレースウィーク中の対応力を評価される舞台だ。クロフォードがここで存在感を示せば、2026年以降のシート争いにおいて注目度が一気に高まることは間違いない。