アストンマーティンの苦戦がサウジアラビアGPの週末に改めて浮き彫りとなった。2度のF1ワールドチャンピオン、フェルナンド・アロンソは、チェッカーフラッグ後にスペインメディアに対し、「50周の予選ラップを走ると内側から消耗していく」と語り、43歳のベテランは今季ここまで未だに1ポイントも獲得できていない現状を嘆いた。巨額の投資、エイドリアン・ニューウェイの加入、さらにはマックス・フェルスタッペン移籍の噂まで巻き起こる中、アロンソは「今のアストンマーティンはグリッド上で『最後尾のチーム』」だと評した。
さらに、ランス・ストロールも厳しい現実を認めた。「このクルマには基本的に強みがない」と語り、自らもQ1突破に最も失敗したドライバーとして記録を更新してしまった。ストロールは「マクラーレンのドライバーを10年間ザウバーに乗せたら、同じ記録になるだろう」とも皮肉った。アロンソは、2025年がキャリア初年度だった2001年のミナルディ時代以来、シーズンノーポイトに終わる可能性があると認める。しかし彼は「ルールが来年も変わらなければもっと辛かっただろう」と述べ、2026年の大規模レギュレーション変更に期待を寄せている。そんな中、新たに完成したアストンマーティンの風洞施設に関しても不安な噂が浮上。旧風洞でのデータと新施設での結果にズレがあるとの指摘だ。新たにチーム代表に就任したアンディ・コーウェルは、スペイン紙『AS』に対し、「昨年は風洞や各種ツールが示す開発データと、実際に速さをもたらすものの区別がつかなかった」と振り返り、現在も相関性の問題に苦しんでいると明かした。「素晴らしい新施設とツールは揃っているが、それをどう最適活用するかが課題だ。だからこそ、2025年型にリソースを全投入するのではなく、2026年に向けた開発を最優先している」と説明。「今パニックになってやり方を変えるのではなく、信じて進まなければならない」と強調した。エイドリアン・ニューウェイについては、「彼はほぼずっと製図版に向かって設計を続けている。ミーティングにも出ないし、メールも返さない。ただ、速いクルマを作るために集中している」と語り、ファクトリーでの影響力を最大限に発揮していると述べた。また、コーウェルはスペイン『DAZN』にも「ニューウェイは我々のキャンパスや風洞設備を非常に高く評価している」と述べたうえで、「彼は風洞作業、CFD(数値流体力学)解析、シミュレーション運用のすべてに改善のアイデアを持っている」と、前向きな変化への期待を示した。