レーシング・ポイントF1チームが、2021年からアストンマーティンのワークスチームになることが正式に発表された。これにより、メルセデスF1チームがアストンマーティンを名乗る可能性は一旦なくなったが、両者の提携はより強まる可能性がある。1月31日(金)、レーシング・ポイントF1チームのオーナーであるカナダの大富豪ローレンス・ストロールが、アストンマーティンの株式を買収したことが発表された。
ロンドン証券取引所から発行された文書によると、ローレンス・ストロールが結成したレーシング・ポイントのコンソーシアムは、アストンマーティンの会社の16.7%を購入するために約1億8200万ポンド(約260億円)を投入した。また、ローレンス・ストロールのもう1つの投資会社であるYew Tree Overseasは、5550万ポンド(約80億円)の資金を投入して、2019年の売り上げの低迷するアストンマーティンに短期資金を提供して支援する。レーシング・ポイントはアストンマーティンの過半数株主にはならない。現在の過半株主である Prestige/Strategic European Investment Group (SEIG)とAdeem/Primewagonが資産売却後も引き続き会社の50.5%を保有する。レーシング・ポイント、Yew Tree Overseas、および既存株主の間で会社を支援するために約5億ポンドが調達された。アストンマーティンの元会長ペニー・ヒュースは、取締役を辞任する。「2019年の困難な取引実績は、流動性に対する厳しいプレッシャーをもたらし、当社に大胆手段はなく、大幅な追加の株式融資を求めなければならなかった。これがなければ、貸借対照表はグループの業務をサポートするほど強固ではなかった。最近の減収減益にもかかわらず、アストンマーティンブランドと当社の拡大する自動車ポートフォリオの力により、ストロール氏の強力な新しいパートナーを惹きつけ、事業の転換をサポートすることができた」とペニー・ヒューズは述べた。そして、ローレンス・ストロールには大きな計画がある。今回の投資に伴いレーシング・ポイントF1チームは、2021年からアストンマーティンのワークスチームになることが発表された。アストンマーティンはF1エンジン製造を行っておらず、事実上、スポンサー契約(ネーミングライツ契約)となる。レーシング・ポイントF1チームのエントリーと所有権はそのままであるため、F1の営業部門からの財政的損失に関しては何はない。これはアルファロメオとザウバーとの取り決めに似ている。アストンマーティンとレーシング・ポイントF1チームでスポンサー契約が締結され、レーシング・ポイントF1チームは、10年間アストンワークスチームになり、まずは5年間のスポンサーシップ契約(ネーミングライツおよびブランディング)を予定。その時点で“特定の条件”満たされていれば、さらに5年間更新される。おそらく、それはF1でのパフォーマンスとアストンマーティンの会社の経営状況に基づくものと思われる。また、ローレンス・ストロールとレーシング・ポイントは、アストンマーティンの株式保有率を20%に引き上げることを予定しているが、このスケジュールはまだ発表されていないが、レッドブルとのスポンサー契約が終了する2020年末から進められることになるかもしれない。レッドブル・テクノロジーズは、アストンマーティンとともにハイパーカー『ヴァルキリー』を共同開発しており、レッドブルとアストンマーティンの関係は継続され、その際にはホンダのF1エンジンを搭載するとも噂された。しかし、レッドブルとアストンマーティンは、ヴァルキリーが出荷される2020年末をもってタイトルスポンサー契約は終了し、その関係を終わりを迎える。アストンマーティンがF1で長期的な将来を設定された今、問題はチームの運営方法となる。メルセデスの親会社であるダイムラーAGは、アストンマーティン・ラゴンダの株式5%を保有し続けており、メルセデスがアストンマーティンに名前を変えるチームに引き続きエンジンを供給することはほぼ確実だと考えられる。最近、メルセデスがコンストラクターとしてF1から撤退する方法を模索しており、それを議論する会議が2月に行われるという噂が流れている。マクラーレンとウィリアムズへのエンジン供給契約を既に締結されているが、メルセデスについては2020年以降、商業的な合意を結んでいない。しかし、ダイムラーの最高経営責任者(CEO)であるオラ・ケレニウスは、F1撤退の事実はないと否定している。メルセデスがF1チームを売却を決断した場合、ローレンス・ストロールとトト・ヴォルフがブラックリーのチームに投資するという噂があったが、アストンマーティンのワークスチーム化が発表された今、その可能性は低くなった。トト・ヴォルフのメルセデスとの契約も2020年で失効となるが、チームを離れて、ローレンス・ストロールとアストンマーティンで働くことに誘惑されるだろうか?最も可能性の高いシナリオは、メルセデスが新しいコンコルド契約に署名してF1を継続し、トト・ヴォルフが残ることだ。アストンマーティンはアルファロメオと同様の状況に調整され、事実上メルセデスの“ジュニアチーム”として存在していく可能性がある。2021年からはF1に予算上限が導入されるため、マシン開発や研究開発においてジュニアチームを持つことの価値はより高まってくる。商業的には、アストンマーティンの名前はスポンサーにとって魅力的であり、ジョーダン/スパイカー/ミッドランド/フォース・インディアとインフラをアップグレードさせていったチームにとって、より多くの資金を集めることに役立つはずだ。これはF1にとって勝利となる。F1は、1960年以来アストンマーティンがグリッドに並ぶことになる。そして、すべての最大の勝者はランス・ストロールであり、アストンマーティンF1チームの長期的なシート席を確保することはほぼ確実だ。アストンマーティンのCEOを務めるアンディ・パーマーは、すべての変更を歓迎し、ローレンス・ストロールが会社の運命を変えるのを助けることができると確信していると述べた。「2020年1月7日に発表したように、過去1年は、会社にとって残念で失望し、困難な時期だった。当社の継続的な努力にも関わらず、2019年の厳しい取状況とその結果としての業績の低さにより、当社は流動性に厳しいプレッシャーのかけるストレス状態に陥り、当初の計画を履行する能力に影響を与えた」とコメント。「今日の資金調達は必要であり、会社の長期的な将来をサポートするプラットフォームを提供する。ストロール氏は、アストンマーティ...