アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)は、カタールGP後に自身のSNSへ殺害予告を含む1100件以上の攻撃的メッセージが寄せられた件について、「つらかった」と胸中を明かした。一方で、家族や友人の支え、さらにはマックス・フェルスタッペンから直接励ましの連絡があったことで、「すぐ前を向くことができた」と語った。カタールGP終盤、アントネッリがミスした直後にランド・ノリスが前に出た場面を巡り、レッドブル側の一部コメントが“意図的に譲った”と示唆したことで誤解が拡散。
これを受けてSNSでは激しい誹謗中傷が飛び交い、レッドブルは後日「明確に誤りであり、後悔している」と声明を出す事態となった。アントネッリ「絶対にわざと譲っていない。P3を争っていた」アントネッリは木曜のメディアセッションで当時を振り返り、「ああいうコメントを受けたのはつらかった。僕は絶対にあんなこと(意図的に譲る)をしない」と強調した。「僕はP3を争っていたし、サインツのDRS圏内に入ろうと必死にプッシュしていた。何周も汚れた空気の中で走り続け、少しずつ攻める度合いを高めていった結果、タイヤが限界を迎え、あのミスをしてしまった。だからレース後にあんなコメントを見て、正直すごく傷ついた」レッドブルの声明、そしてジャンピエロ・ランビアーゼ(フェルスタッペンのレースエンジニア)が直接謝意を伝えに来たことも「うれしかった」と語った。フェルスタッペンがDMで励まし「気にするな、相手は“脳みそがない”人たちだ」アントネッリによれば、フェルスタッペンはSNS中傷の件が公になった後、本人に直接メッセージを送ったという。「マックスは何が起きたかを見てくれていて、“気にするな。ああいう人たちは脳みそがないんだから、仕事に集中しろ”と言ってくれた。ちょっと悪い言葉も入っていたから詳しくは言えないけど(笑)、本当に励まされた」また、ランビアーゼともすでに“誤解は完全に解消した”と話した。「GP(ランビアーゼ)も話しに来てくれて、マックスともクリアにした。それはよかった。あの件のあと、本当にたくさんのサポートが届いたし、それで気持ちを切り替えることができた」SNSとの向き合い方「週末は極力見ない。友人から連絡が来て初めて状況を知った」アントネッリは普段からレース週末はSNSをほとんど見ないと語る。「週末は集中したいのでSNSはあまり見ない。でもレース後に友達から“こんなことになってるよ”とメッセージをもらって、初めて状況を知った。見たときはつらかったけど、今はもう忘れたよ」一時、Instagramのプロフィール画像を黒い画面に変更したが、現在は元に戻している。誤解から中傷へ──19歳のルーキーが抱えた重圧と、それを超えて迎える最終戦今回の騒動は、誤解に基づく批判がSNS上で急速に増幅され、若いドライバーを追い詰める典型例と言える。一方で、レッドブル自身が誤った示唆を撤回し、フェルスタッペンらが直接サポートしたことは、F1界全体として若手を守る姿勢を示した形となった。19歳のアントネッリは、つらい経験を経ながらも「この週末に集中するだけ」と語り、ルーキー最終戦となるアブダビGPへ気持ちを切り替えている。
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