元アルピーヌF1チーム代表のオリバー・オークスが辞任したのは、実弟ウィリアム・オークスの逮捕からわずか数日後のことだった。ウィリアム・オークスは「犯罪収益の移転」の容疑で起訴されており、現在も拘留中である。オリバー・オークスは5月6日(火)夜にアルピーヌF1の代表職を辞任。一方、弟のウィリアムは同年5月1日(木)にノーサンプトンシャー州シルバーストーン・パーク周辺で多額の現金を所持していたとして警察に拘束され、翌2日に起訴された。
ロンドン警視庁の広報担当者は次のように声明を発表している。「ウィリアム・オークス(31歳、ラグビー在住)は、2025年5月2日金曜日に『犯罪収益の移転』の容疑で起訴されました。前日、シルバーストーン・パーク地域で多額の現金を所持していたとして拘束され、5月3日土曜日にノーサンプトン治安判事裁判所に出廷し、拘留されたままとなっています」英紙『テレグラフ』によれば、オリバー・オークスは現在ドバイに滞在しているという。アラブ首長国連邦は英国と犯罪人引渡し条約を結んでいる。ウィリアム・オークスは、Hitech Grand Prixの登記上の取締役でもある。Hitechは、オリバー・オークスがロシアによるウクライナ侵攻の9日前に全株式を取得したモータースポーツ企業だ。それ以前、同社の株式の75%はロシアの新興財閥ドミトリー・マゼピンが保有しており、彼は元ハースF1ドライバー、ニキータ・マゼピンの父でもある。Hitech Grand Prixは、2015年にオリバー・オークスとデイビッド・ヘイルによって設立され、翌年にはマゼピンが出資。これはニキータ・マゼピンがF3チームに加入した時期に重なる。2022年、ロシアのウクライナ侵攻を受けて国際社会の制裁が強まる中、オリバー・オークスは3月11日に新会社「Hitech Global Holdings Ltd」を設立。これにより、キプロスを拠点とするドミトリー・マゼピンの投資会社「Bergton Management Ltd」から株式を引き継いだ。この設立タイミングは、EUおよび英国がマゼピン父子を制裁対象としたわずか3日後であった。なお、ニキータ・マゼピンはその後、欧州連合司法裁判所の判断により制裁の取り消しを勝ち取っている。