スクーデリア・アルファタウリのCEOを務めるピーター・バイエルは、DTMのボスだったゲルハルト・ベルガーが将来のF1候補としてリアム・ローソンに注目するようレッドブルを説得するのに役立ったが、チーム代表のフランツ・トストは懐疑的だったと明かした。ローソンは早くからカートとF4で実績を積み、2019年のトヨタ・レーシング・シリーズで完勝したことで、その年にレッドブルの若手ドライバープログラムに参加することになった。
しかし、17歳のローソンのMPモータースポーツでのF3への移行するのはかなり骨の折れる仕事となり、同シリーズでの初陣は11位という低成績で終えた。2020年、ローソンは冬のトヨタ・シリーズを準優勝、、ハイテック・グランプリでFIAフォーミュラ3選手権を5位で終えた。2021年にローソンはF2デビューキャンペーンと並行してDTMにレッドブルAFコルセから参戦。そこでドイツ・シリーズのマネジングディレクターであるベルガーの目に留まり、タイトルまであと3ポイントに迫った。フェラーリとマクラーレンの元グランプリドライバーであるベルガーはローソンに感銘を受け、レッドブルのモータースポーツボスであるヘルムート・マルコにこの若手を注意深く監視するようアドバイスした。そして、ローソンのF2参戦2年目となる2022年シーズンにまさにそれを成し遂げ、チャンピオンシップで3位に躍り出た。FIA在籍中にバイエルもこの快挙を目撃した。「ゲルハルトはリアムのレーシングスタイルの大ファンだった。『彼はまさに自分たちの探しているドライバーだ。彼はギャップを狙っているし、速い』と言っていたよ」とバイエルはSppedcafeに語った。「ヘルムートも彼の天性のスピードにはとても納得していたが、フランツは当初、少し懐疑的だった。彼は『結果を見ると、よくわからない』と言っていた」「純粋に結果だけを見れば、目立つドライバーではないだろうが、彼は多くのレースをこなし、さまざまなカテゴリーで、何度も輝きをみせていた。ヘルムートは100%『あいつだ』と言っていた」。「フランツ、クリスチャン(ホーナー)、そして私の3人で長い話し合いをした結果、リアムは(レッドブル・レーシングの)リザーブドライバーになった」レースウイークエンドにレッドブルに帯同していたローソンは、昨年8月にザントフォールトで開催されたオランダGPで、ダニエル・リカルドが金曜プラクティス中に手を負傷し、急きょ欠場することになった。この21歳のローソンは予選、そして決勝日の危険なコンディションの中で見事な活躍を見せた。その後、ローソンは4戦に出場し、シンガポールでは自身初のトップ10フィニッシュを果たしたが、イタリアと日本では惜しくもポイントを逃した。ローソンの代役期間が終わるころには、バイエルは「大きなプレッシャー」の中で発揮されたドライバーの卓越したスキルに疑いを持たなくなっていた。アルファタウリ幹部にとって、彼は本物だった。「F1でのチャンスは一度きりだし、20シートしかないのだから、結果を出したいものだ」とバイエルは説明した。「アルファタウリのCEOになるための株主との面接のことをリアムに話した。これまで何度も面接を受け、たくさんのことを話してきたが、それでも緊張したとね」「彼らにとっては、結果を出さなければならないのは一度きりなんだ。彼らにはチャンスが一度だけ与えられるかもしれない、そしてそれだけだ」「リアムはザントフォールトのとき、すごくナーバスになっていたと言っていた。 車の中では手が震えていたけれど、走り出したら大丈夫だったと言っていた」「突然スイッチが入り、その興奮をパフォーマンスに変えるのがレーシングドライバーだ」「まさにそこが彼らとの違いであり、それが彼(ローソン)の絶対的な能力だ。彼をマシンに乗せれば、それがスイッチとなり、彼は走り出す」