アルファタウリ・ホンダの2020年F1マシン『AT01』は、昨年のトロロッソ・ホンダ STR14の進化型というよりも、レッドブル・ホンダ RB15のコピーの色合いが強い。昨年からレッドブルもルノーからホンダのF1エンジンに切り替え、トロロッソと同じくホンダのF1エンジンをベースにレッドブル・ホンダ RB15は開発された。
F1レギュレーションでは、部品一覧に掲載の無い部品を第三者から購入することができる。ハースF1チームはこのルールを利用して技術パートナーであるフェラーリから多数のパーツを購入してマシンを設計している。アルファタウリに関しては、昨年のレッドブル RB15の油圧システム、フロントおよびリアサスペンション、ギアボックスといった部品がレッドブル・テクノロジーを介してアルファタウリに供給された。一方、空力テストが必要なパーツはチームが独自に開発する必要があり、いわば、アルファタウリ AT01は、レッドブル RB15の骨格にアルファタウリが肉付けしたようなマシンに仕上がっている。レッドブルのRB15のパーツとアルファタウリで独自に開発したパーツについて、アルファタウリのテクニカルディレクターを務めるジョディ・エギントンは以下のように説明する。「2019年のレッドブルのリアエンドをシャシーパッケージに適合させる必要があったが、新しい部品であっても他チームから継承するものであっても、それは毎年のゲームの一部だ」とジョディ・エギントンは語る。「細かい部分だが、PUパッケージに変更が加えられたため、再ホモロゲーションが必要だった。だが、すべての意図と目的は同じだ。インボードフロントサスペンションとアップライトも昨年のレッドブルのものであり、サスペンションメンバーと関連ブラケットはアルファタウリの設計・製造部品だ。それに関連する油圧装置やその他の部品もレッドブルから来ている。2020年の規制に対する小さな変更の1つはブレーキダクトに関するものだ。フロントとリアのブレーキダクトはリスト化された部品として分類されるようになったため、これらは2020年のアルファタウリの設計および製造部品だ」ジョディ・エギントンが説明するように2020年型のホンダのパワーユニットに適合するためにAT01のサイドポッドはレッドブルの今季マシン『RB16』に近しいものとなっている。また、リアサスペンションやリアウイングのエンドプレートにも大きな類似点があり、ディフューザーはRB15のコピーとなっている。例えば、ノーズの形状、SダクトはレッドブルRB15の最終形態が移植されている。ただし、ノーズ先端の開口部は移植されていない。逆にフロントウイングの形状。レッドブルRB15がアッパーフラップがエンドプレートに向かって上昇する形状なのに対し、アルファタウリはトロロッソSTR14が採用した下降する形状を採用している。サイドビューを比較するとAT01とRB15の大まかな外観はほぼ同じことがわかる。ただし、独自開発が必要な空力パーツ、例えばバージボードやサイドポッド周辺のウイング類、フロアなどについては複雑な形状のレッドブルRB15/16に比べて、アルファタウリAT01はシンプルな形状となっている。レッドブルF1のモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコも、アルファタウリ・ホンダには、ルールが許す限り、レッドブル・レーシングから直接的なサポートが与えられるとし、レッドブル・レーシングに対するアルファタウリの関係を“ジュニアチームから姉妹チームに格上げとなった”と表現した。「ジュニアチームから姉妹チームへの転換し、アップグレードされる。すべてが許可され、我々に十分な能力がある限り、アルファタウリにも同様に提供される」とヘルムート・マルコは語った。レッドブル RB16のパーツが供給されなかった理由についてヘルムート・マルコは、レッドブルのための開発に専念する必要があったためだと説明。だが、3~6か月遅れで、レッドブルRB16のために開発したパーツがアルファタウリにも供給されると語る。「もちろん、タイムラグがある。レッドブル・レーシングの開発のペースに伴い、特にシーズンのこの早い段階で、我々はより自分自身に挑戦している。未処理分は3~6か月だ」とヘルムート・マルコはコメント。「レッドブルで大きな進化が起こったが、それはシーズンの途中までにアルファタウリに組み込まれる可能性がある」しかし、ヘルムート・マルコは、2020年のレッドブル・ホンダ RB16で根本的に再設計された一部のパーツ(ノーズ、フロントサスペンションなど)は、古いコンセプトに適合させることが難しいため、アルファタウリのマシンでは見られないことを認めている。
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