フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、今週末アブダビで行われる歴史的な三つ巴タイトル決戦を「世界がどうあっても見逃せない」と語り、自身がコックピットにいるかどうかに関わらず最後まで見届ける決意を示した。今季は苦しいシーズンとなったアロンソだが、ランド・ノリス、マックス・フェルスタッペン、オスカー・ピアストリの3人が数ポイント差でアブダビ入りすることを知らされると、表情を明るくした。
「そう、全員すぐそこにいる。信じられない展開だ」とアロンソは日曜に笑顔で語った。「またしてもマクラーレンが少し速かったと思うけど、状況というものは常に影響する。そして次はアブダビだ。スポーツにとって素晴らしいし、3人にとっても素晴らしい。どの3人がチャンピオンになってもおかしくない」アロンソは優勝候補を挙げることを拒み、次のように続けた。「僕は車に乗っているつもりだ――そう願っている。でももし乗れなかったとしても、ここに来てあなたたちと一緒に見るよ。世界がどうあっても見逃さない。3人全員の成功を願っている」スペイン紙『Marca』にも同様に語り、「3人全員がタイトルを争っている。スポーツにとって素晴らしい状況だ」と述べた。一方、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)は、カタールGPで起きたポイント変動の大きさをまったく把握していなかったことを明かし、報道陣を驚かせた。「どうしてマックスが12ポイント差なの?」とハミルトン。フェルスタッペンが優勝し、ノリスが表彰台を逃したことを聞かされると、「本当に?どこでピアストリはフィニッシュしたんだ?」と目を瞬かせた。多くのドライバーはコース脇の大画面でレース状況を把握するが、ハミルトンは「もっとスクリーンがあれば助かる」と微笑み、「レースは見えなかったけど、すごくエキサイティングだね」と付け加えた。その後ハミルトンはこう続けた。「マックスには素晴らしい車がある。でも彼自身もその車で信じられないことをやっている」フェラーリのシャルル・ルクレールは、カタールでの惨敗の中で唯一楽しめたのは「頭の中でタイトル争いの計算をすることだった」と苦笑した。「大画面でレースを見ながら、計算していた。それが僕のレースで一番エキサイティングだった」と語った。さらに、カタールGPでノリス寄りの展開に影響したと批判されたメルセデスのルーキー、アンドレア・キミ・アントネッリは、どのドライバーを応援しているかについて隠さなかった。「僕は信じているよ」とアントネッリはフェルスタッペンの逆転タイトルへの期待を口にした。「彼は成し遂げると思う。失うものが何もない状況にいるからね」三つ巴決戦が生む“F1らしさ”──ベテランドライバーの視点が示すものアロンソの発言には、タイトル争いの核心が描かれている。自身のシーズンが上手くいかなくても、レースそのものへの情熱が衰えない。特に今年は、マクラーレン勢とフェルスタッペンが互いに異なる強みを持ちながら、最後の最後まで激しく競り合ってきた。アロンソが言う「状況が常に影響する」という一言は、今年の混迷を象徴している。マクラーレンのスピード、レッドブルの経験値、各レースでの偶発要素。どれが決定打になるのか、アブダビまで読めない。ハミルトンとルクレールのコメントも、別の角度から“今年の異常さ”を物語る。フェラーリの2人は、タイトル争いに直接絡めない状況でありながら、その推移には強い関心を寄せている。特にハミルトンがポイント差を知らなかったという場面は、カタールの混戦ぶりと混乱を象徴している。メルセデスのアントネッリがフェルスタッペンを推す姿は、若い世代が“勝者のメンタリティ”をどう捉えているかを示し、次世代ドライバーの価値観が垣間見える。
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