FIA(国際自動車連盟)は、今週末のシーズン最終戦F1アブダビGPでのトラックリミット違反に対処するために人工知能(AI)を試験的に導入する。FIAによると、形状分析を用いてトラックの端からはみ出したピクセルの数を算出する「コンピュータービジョン」技術を使用するという。
ドライバーがトラックの端にある白線を4輪すべてで越えてしまうような本物の違反をAIが選別することで、FIAのリモートオペレーションセンター(ROC)の作業負担を軽減し、対応を迅速化する。オーストリアGPでは、雪崩のように押し寄せた約1,200件の違反の可能性をわずか4人で処理した。タイトルを決定づけた10月のカタールGPでは、トラックリミットを評価し、820のコーナー通過を監視するために8人が配置され、141の報告がレースコントロールに送られ、51周が削除された。しかし、10月にオースティンで開催されたアメリカGPでは、いくつかの違反が罰せられなかった。スチュワードは今月、ターン6でのトラックリミット違反を適切に取り締まることができなかったことは「完全に不満足」であり、来季開幕までに解決策を見つける必要があると述べた。FIAのリモートオペレーション責任者で副レースディレクターを務めるティム・マリオンは、コンピュータービジョンの技術は、がん検診のデータをスキャンするような医療分野で効果的に使用されていると述べた。「彼らはがんの診断にコンピュータビジョンを使うことは望んでいない。彼らが望んでいるのは、コンピューター・ビジョンを使ってがんを診断することではなく、がんでないことが明らかな80%のケースを除外して、20%のケースを見る時間を十分に訓練された人たちに与えることなのだ」「我々はそれを狙っている」マリオンは、コンピュータービジョンのレイヤーが増えることで、ROCが検討する違反の可能性が減り、レース・コントロールがさらなる措置を取るケースも減るだろうと語った。「最大の急務は施設を拡張し、ソフトウェアへの投資を継続することだ。それが我々が大きな進歩を遂げる方法だからだ」と同氏は語った。「私にとっての最後のポイントは、新しいテクノロジーを受け入れ、進化し続けることだ」「私は何度も、ある分野では今のところ人間が勝っていると言ってきた。今はそうかもしれないが、最終的にはリアルタイムの自動取り締まりシステムが進むべき道だと感じている」