レーシングブルズのリアム・ローソンとレッドブルの角田裕毅は、2025年シーズン終盤の3戦を前に、来季のF1シートを懸けた熾烈な競争を続けている。だが、チーム代表アラン・パーメインの発言が、角田裕毅に有利な流れを示唆している。角田裕毅は2025年3月にローソンの後任としてレッドブル・レーシングに昇格したものの、期待された成績を残せず苦戦。一方のローソンはレーシングブルズに復帰してから立て直し、ここまで36ポイントを獲得している。
ブラジルGPではアイザック・ハジャーを抑えて7位入賞し、コンストラクターズ争いで貴重なポイントを積み上げた。「経験あるドライバーを常に求めている」パーメイン発言の真意アラン・パーメイン代表は『RacingNews365』の取材に対し、2026年のドライバー決定時期について「アブダビGPの翌月曜まで分からないかもしれない」と語りつつも、経験の重要性を強調した。「新しいエンジンと空力レギュレーションが導入される2026年に向けて、経験豊富なドライバーは常に重要だと思っている。ウィリアムズのように、カルロス・サインツとアレクサンダー・アルボンという非常に経験のあるドライバーを揃えているチームが好例だ」とアラン・パーメインは語った。「もちろんスピードこそ最も重要だが、経験は常にものを言う。我々のドライバーに不満があるわけではないが、経験の価値は絶対に無視できない。速さを持ち合わせたうえでの経験、それが来年の助けになるだろう」このコメントは、2026年に向けてアービッド・リンドブラッドを起用する方針が強まる中で、経験豊富な角田裕毅をチームに戻す可能性を示唆するものと受け止められている。角田裕毅とローソン、数字が語る実績の差角田裕毅は2021年のF1デビュー以来、111戦に出場(108戦スタート)し、通算119ポイントを獲得してきた。一方のリアム・ローソンは2023年以降32戦に出走し、通算42ポイントにとどまる。経験値では角田裕毅が大きく上回っており、アラン・パーメインの「経験重視」発言は彼の立場を後押しする可能性が高い。レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは当初、2025年メキシコGPの後にレッドブルおよびレーシングブルズのラインアップを決定する意向を示していた。しかしチームは決定を延期し、最終戦アブダビGP(12月5〜7日)後に最終判断を下す見込みだ。両者の未来を左右する最終3戦2025年のコンストラクターズ争いは、レッドブル・レーシングがメルセデスと2位を争う状況にあり(現時点で32ポイント差)、レーシングブルズも6位をかけてアストンマーティンやハースと接戦を繰り広げている。レーシングブルズはここまで82ポイントを獲得し、内訳はアイザック・ハジャーが43ポイント、リアム・ローソンが36ポイント、そして角田裕毅がレッドブル昇格前に稼いだ3ポイントだ。こうした状況のなかで、アラン・パーメインの発言が「経験重視=角田裕毅優勢」の示唆と解釈されるのも無理はない。2026年にF1へ昇格予定のアービッド・リンドブラッドが加わることで、チーム内のバランスを取るうえでも経験豊富なドライバーの存在が重要になる。アラン・パーメインの「経験は常に重要だ」という言葉は、角田裕毅のキャリアを左右する一言となるかもしれない。