2025年シーズンをもってWRC(世界ラリー選手権)を離れ、日本のスーパーフォーミュラへ転向するカッレ・ロバンペラ。フィンランド出身の2度の世界王者は、2027年までにFIA F2へ進出し、最終的にはF1を目指すという大きな野望を明確にしている。WRCからシングルシーターの世界へ飛び込むことは未知の挑戦だが、ロバンペラにはすでにいくつかのサーキット走行経験がある。10月にはF2マシンのテスト走行を実施し、そのスピードに自らも驚いたという。
「ペース的には本当に良かった。正直、予想よりも少し良かったと言える。もちろん、まだやるべきことはたくさんあるけど、ゼロから始めたにしては悪くなかった」とロバンペラは『DirtFish』に語った。しかし、フォーミュラカーでの走行はラリーよりもはるかにフィジカルを要求することを、彼自身よく理解している。「学ぶべきことは他にもたくさんある。特にフィジカル面だ。ラリーカーから来ると、2日間フルに走るのはかなりきつい。だから多くのトレーニングが必要なんだ」とロバンペラは認める。中でも、ジムで重点的に鍛えるべき部位があるという。「ラリーでは首をそれほど使わない。たぶん他のスポーツでも、あれほど必要なものは少ないと思う。フォーミュラではコーナーごとにGがかかるから、頭がすぐに重くなる」と説明した。サーキットでの経験不足やカートレースの経歴がないことを懸念する声もあるが、ロバンペラ本人は冷静だ。「ドライビングは時間とともに身につく。そこに大きな問題は感じていない」と彼は言う。ただし現在もWRCタイトル争いを続けているため、トレーニングの時間を確保しづらい状況が課題だ。「ラリーの週が続くと、テストや準備の合間にトレーニングできる時間があまりない。だから来年の初めはきついと思う」と率直に語った。「でも来年はもっと時間を取れるようになるし、シートタイムが増えれば増えるほど良くなる。結局のところ、一番のトレーニングは実際にマシンに乗って走ることだからね」経験面では他のドライバーに遅れを取っていることも認めるが、それも気にしていない。「他の選手たちは小さなフォーミュラからステップアップして、徐々に強くなってきている。だから簡単ではないけど、大丈夫だ」とロバンペラは締めくくった。ロバンペラの挑戦が意味するものWRC王者のフォーミュラ転向は、近年のモータースポーツ界でも稀なケースだ。ダートと舗装路、全く異なる環境で得た反射神経とマシンコントロール能力が、スーパーフォーミュラやF2でどこまで通用するのかは未知数だが、彼の冷静な分析力と順応力は高く評価されている。また、トヨタが支援する形での日本挑戦は、将来的にF1への橋渡しとしても注目される。身体面の強化、特に首のトレーニングとレース経験の蓄積が鍵となるだろう。2027年までの3年間で、ロバンペラがどれだけ速く、効率的に“フォーミュラ脳”を身につけられるか――そのプロセス自体が、モータースポーツ界の大きな注目ポイントとなる。
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