フォルクスワーゲンは、WRC 第6戦 アクロポリスラリー(ギリシャ)に3台の「ポロR WRC」で参戦し、ヤリ・マティ・ラトバラが「ポロR WRC」での初優勝を果たしました。また、セバスチャン・オジェが総合10位、アンドレアス・ミケルセンも総合4位で完走し、WRC 随一の過酷さで知られる同ラリーに参戦した「ポロR WRC」の全車がポイントを獲得した。
31日(金)に開幕した「アクロポリスラリー」は、ギリシャの首都アテネの西部に位置するルートラキを起点とする「グラベル(未舗装路)ラリー」。WRCのなかでもクラシックイベントのひとつであり、その歴史は1951 年まで遡る。また、SS区間は過酷な路面で、パンクやサスペンショントラブルが頻発する「カーブレイカーラリー」として知られている。気温は高く、平均速度は比較的遅いため、エンジンへの負担も高い一戦だ。グラベルラリーは、路面を覆う土埃の影響により、出走順がタイムに影響する場合が多いため、事前に予選を行い、予選でタイムの良かった選手から好きな出走順を選択できる予選方式が導入されている。31日の午前中に行われた予選では、セバスチャン・オジェがトップタイム、ヤリ・マティ・ラトバラが9番手、アンドレアス・ミケルセンが6番手を獲得した。路面は非常に細かい埃と尖った石に覆われており、埃や石が前走者によって除かれている後方の出走順が有利となる。セバスチャン・オジェは選択できる中で最も後方の11番手、ヤリ・マティ・ラトバラは4番手、そしてアンドレアス・ミケルセンは3番手をそれぞれ選択した。31日の夜に2本行なわれた夜間SSを終えて、ヤリ・マティ・ラトバラは3 番手、アンドレアス・ミケルセンは5番手という順位。今回も活躍が期待されたセバスチャン・オジェは、SS1で燃料ポンプに関連する不具合が発生しリタイアを余儀なくされた。翌日再出走する場合は規定によって計10分が加算される。今季5戦で5度の表彰台(うち3 回は優勝)を獲得しているセバスチャン・オジェにとっては試練の一戦となった。翌1日(土)からは本格的な競技がスタート。ヤリ・マティ・ラトバラはこの日最初のSS3 からSS5 にかけてトップタイムを連発。SS3で2番手に浮上、続くSS4では首位に立ち、リードを広げた。アンドレアス・ミケルセンは午前中ブレーキトラブルに見舞われたが、チームはすぐにこれを修復。午後はパンクを喫するも、ミケルセンは5番手を堅守した。また、前日リタイアを喫したセバスチャン・オジェも戦線に復帰。オジェは条件の厳しい先頭スタートにもかかわらず上位のタイムを連発し、総合23番手から10番手まで挽回する驚異的な走りでドライバーズポイント獲得圏内へと戻ってした。ラリー最終日となる2日(日)はボーナスポイントが加算される「パワーステージ」を含む4 つのSSが設定されている。すでに2番手のライバルに大きな差をつけたヤリ・マティ・ラトバラは慎重な走りで確実にゴールする作戦を採用。一方、アンドレアス。ミケルセンは、この日3連続トップタイムを出す快走を見せ、総合4番手に浮上した。また、セバスチャン・オジェは最終SSの「パワーステージ」でトップタイムを獲得、ミケルセンも3番手タイムを獲得し、それぞれボーナスポイント3点と1点を獲得した。ヤリ・マティ・ラトバラは、「ポロR WRC」をサービスパークに無事に帰還させ、フォルクスワーゲンに移籍して初めての勝利を達成。ラトバラは25点を加算し、セバスチャン・オジェに次ぐ権2番手に浮上した。次戦は6月20日(木)にスタートする第7戦「ラリーイタリア サルディニア」。地中海に浮かぶサルディニア島を舞台としたグラベルラリー。ラトバラは2009 年に同ラリーで優勝しており、2戦連続の勝利が期待される。ヨースト カピート (フォルクスワーゲン モータースポーツ ディレクター)「ここギリシャでの勝利はチーム全体の勝利でもあります。3 つのマニュファクチャラーがそれぞれ表彰台を分けあったということは、それだけ戦力が拮抗しているということです。その中で優勝したラトバラ選手を誇りに思います。また、最終日に4 位を獲得したミケルセン選手の走り、それにオジェ選手は初日のトラブルにもかかわらず最良の結果を残してくれました。3 週間後のサルディニアでも彼らは高い能力を見せてくれると期待しています」ヤリ・マティ・ラトバラ (総合優勝)「私にとって2013年シーズンの序盤は厳しい展開でしたが、チームは常に私のことを信頼しサポートしてくれていました。チームの人たちが喜んでくれている顔を見ることができて、これまでのことが報われた思いがします。アクロポリスラリーは伝統のある非常に過酷なラリーです。このラリーに初めて参戦してから10 年、この日が来るのを待ち続けていました。最後のステージはとても長く、フィニッシュラインが見えるのが待ち遠しく感じました。今日は皆でお祝いしたいですね」セバスチャン・オジェ (総合10位)「もちろん表彰台を逃してしまったことは悔しく思っています。初日にリタイアしてしまった後は気持ちを切り替えてアタックし、10 位を得られたこと、パワーステージでトップタイムを出せたことは、苦しいなかでも最大限自分のできることをやり遂げた結果だと思っています。選手権では十分なリードを保っていますし、次のラリーでは上位でフィニッシュしたいと思います」アンドレアス・ミケルセン (総合4位)「とにかく素晴らしいラリーでした。最終日はいいリズムで走ることができて、前を行くナッサー アル‐アティヤを捉えることができました。総合4 位は私のラリーキャリアで最上位ですし、しっかりとパフォーマンスを発揮することができて満足しています。それに2 日目のブレーキトラブルを修復してくれたメカニックたちにはとても感謝しています。もう次のサルディニアが待ち遠しいです」