フォルクスワーゲンは、WRC最終戦ラリー・グレートブリテンで、セバスチャン・オジェが今季9勝目を挙げ、ヤリ・マティ・ラトバラが2位表彰台、アンドレアス・ミケルセンが総合5位を獲得。セバスチャン・オジェとヤニ・マティ・ラトバラは前戦スペインに引き続き、2013 年シーズン2度目となる1-2フィニッシュを達成、フォルクスワーゲンは最高の成績で2013年の戦いを締めくくった。
14日(木)に開幕した「ラリー・グレートブリテン」は、ウェールズのディーサイドを中心に開催されるグラベルラリー。この時期特有の気候により雨が降ることが多く、スペシャルステージ(SS)の路面は泥で非常に滑りやすくなる。競技は夜間のSSや公園内の道路など様々なコンディションの下で行なわれ、最終日のSS19は、上位選手にボーナスポイントが与えられる「パワーステージ」に設定されている。また、グラベルラリーは路面を覆う土埃の影響により、出走順がタイムに影響する場合が多いため、事前に予選を行い、好成績を収めた選手から任意に出走順を選択できる予選方式が導入されている。14日の午前中に行われた予選では、セバスチャン・オジェが1番手、ヤリ・マティ・ラトバラが4番手、アンドレアス・ミケルセンが9番手を獲得。今回のラリーでは路面が湿っている部分が多く、道が荒れるのを警戒したヤニ・マイティ・ラトバラは1番手、セバスチャン・オジェは2番手、そしてアンドレアス・ミケルセンは9番手スタートをそれぞれ選択した。14日(木)の午後に行なわれたセレモニアルスタートでラリーは開幕。この日設定されたSSは3カ所。いずれも夜間ステージであり、ラリーカーはそれぞれ追加ヘッドランプを装着してSSに挑む。セバスチャン・オジェはこのうちふたつのSSでトップタイムを獲得し首位に立つ。ヤニ・マティ・ラトバラも安定感のある走りで3 番手につけた。またアンドレアス・ミケルセンも6番手と、順調な滑り出しとなった。15 日(金)のデイ2はサービスパークのあるディーサイドから南下し、有名なSSである「スイートラム」を含む6SS、計137.06km。この日最初のステージとなったSS4ではアンダーステアに苦しみながらもセバスチャン・オジェが首位を堅持、SS6ではヤニ・マティ・ラトバラがライバルをかわして総合2番手に浮上した。また、SS7ではセバスチャン・オジェ、ヤニ・マティ・ラトバラ、アンドレアス・ミケルセンがSSのトップ3を独占。アンドレアス・ミケルセンも上位との差を詰めることに成功し、翌日以降の順位上昇に期待の持てる内容となった。16 日(土)のデイ3では、アンドレアス・ミケルセンが奮闘。この日序盤のSS10とSS11で連続トップタイムを獲得し、総合6 番手から4 番手へとポジションを上げた。また、ヤニ・マティ・ラトバラもSS12〜14と3連続でトップタイムを出すなど、「ポロR WRC」の速さを存分に発揮した。首位を行くセバスチャン・オジェは必要以上に無理をすることなく、1-2体制を維持した。競技最終日となった17日(日)、総合3位を狙ってスタートしたアンドレアス・ミケルセンだったが、いくつかのステージでスピンを喫してしまい、ライバルにかわされ総合5位でラリーを終えることとなった。一方のセバスチャン・オジェとヤニ・マティ・ラトバラは順調に上位をキープ。危なげなくポロR WRC をゴールへと導き、前戦に引き続いて1-2フィニッシュを達成した。この結果でフォルクスワーゲン・モータースポーツは参戦初年度ながら13戦中10勝目を獲得、最高の結果で2013年シーズンを終えた。今回のラリーで2013年のWRCは全日程を終了。2014年の開幕戦は1月14日(火)に開幕する「ラリーモンテカルロ」。ヨースト・カピート (フォルクスワーゲン モータースポーツ ディレクター)「オジェ選手とラトバラ選手のバトルに、奮闘したミケルセン選手。トップ5 に3 人のドライバーすべてが入るという、今年最高の結果と言えるでしょう。ミケルセン選手にとっては残念な結果となりましたが、闘志を見せてもらいました。2014年も我々は彼らとともに、さらなる高みを目指して戦います。私は、彼ら同様、チームを誇らしく思います。サービスの数が少なめのラリーでしたが、ポロR WRC の信頼性は十分で、技術的な問題はひとつもなく完璧な状態でした。また、エンジンやシャシーについてもシーズンを通じてひとつも失われていないのです。これはチームの優秀性を示す証拠です」セバスチャン・オジェ (総合1位)「シーズンの中でも特にタフな、ラリー・グレートブリテンで勝てたことを誇りに思っています。このラリーではこれまで、なかなか思うような成績が残せずにいましたが、タイム差を維持してフィニッシュすることができました。いまシーズンを振り返ると、ほとんど完璧と言っていいシーズンになりました。素晴らしい仕事をしてくれたチームへの感謝の言葉は、どれだけ言っても足りません。この成功は彼ら、そしてポロR WRC がなければ得られないものだったでしょう」ヤリ・マティ・ラトバラ (総合2位)「2位は順当な結果かもしれませんが、自分にとっては“第2のホームイベント”とも言えるような場所なので、なんとか勝ちたかったですね。ペースは悪くありませんでしたが、いくつか細かいミスをしてしまったことが悔やまれます。この1年は、まるでローラーコースターのようでした。序盤では苦労した部分もありましたが、アクロポリスでは念願の優勝を飾り、マニュファクチャラーズタイトルも獲得できました。ポロR WRC にも馴染んでいますし、2014年はさらなる自信を持って戦うことができます」アンドレアス・ミケルセン (総合5位)「本当にうれしい結果ですが、デイ3よりもいい結果が出せると思っていたので残念ですね。ライバルの20 秒後ろでプレッシャーをかけるつもりでいましたが、2度もスピンを喫してしまい、思うようには行きませんでした。もちろん5位という成績は悪くありませんし、この1年間を通じて非常に多くのものを得ることができたと思っています。早くも2014年という新しいシーズンを楽しみにしています」