セバスチャン・ベッテルは、F1ハンガリーGPを前にFIAが発表した最新の無線規制ルールを“くだらなすぎる”と非難している。F1の無線に関するルールでは、ドライバーはマシンを“1人で援助なし”に運転しなければならないと記されている。F1イギリスGPでは、ニコ・ロズベルグがこれに違反したとして2位から3位に転落した。
ペナルティの原因は、レース終盤に故障したギアボックスの対処法をメルセデスが指示したこと。これによってニコ・ロズベルグはリタイアを免れたと考えることができる。今回発表された新ルールでは、このようなトラブルが発生した場合にチームはドライバーをピットに呼び入れることが義務となる。ピットレーンに入れば、問題についてドライバーとコミュニケーションをとることが可能となるため、事実上のドライブスルーペナルティといえる。 新ルールについて質問されたセバスチャン・ベッテルは「くだらなすぎる」とコメント。「今までの無線の問題全部そうだよ。ジョークとしか思えない。レースを後で見直したら、観客としては結構面白かった。ドライバーが無線でパニックになっていて、同時にチームもパニックになっているんだからね」 「このスポーツにおいて、人間という要素はとても複雑で専門的だと思う。だから、その方法は間違っていると思う。くだらないものがいくつも無線で禁止された。僕には何がしたいのかわからないけど、変えたいと思うんならクルマを変えるべきだ。僕は全然構わない。V12のマニュアルギアボックス、ボタンはピット用のスピードリミッターとピットインを知らせる無線の2つだけ。それ以外の電気系は最低限。そんな時代に戻そうか。そうしたらあれこれ覚える必要なんてなくなる」セバスチャン・ベッテルは、現代のF1マシンが他者の手によってテクニカルになったからといって、ドライバーに罰を与えるべきではないとし、1990年代以降のステアリングの変化を例に持論を展開した。 「今のステアリングにつけられているボタンには全てついている理由があるはずだ。別に“ボタンが作れるからステアリングにつけてみよう”というわけではない」「例えば、1995年のステアリングホイールを見てみるといい。あるいは今でもパドックにいるたくさんの専門家に当時のレースについて聞いてみればいい。単純にその頃のクルマのテクノロジーはもっとシンプルだったから、ステアリングもシンプルだった」「クルマがここまで複雑になったのは僕たちドライバーのせいではない。こんな分厚いマニュアルが必要になって、それを操作するボタンでステアリングが埋め尽くされたのは僕たちのせいではないんだ。何だかどうも間違った方向に進んでいる気がする。少し立ち戻って、言いたいことが言えるようになってほしいね」関連:FIA:F1ハンガリーGPから無線規制を詳細化