レッドブル・パワートレインズ(RBPT)がフォードと共同開発する初のF1パワーユニットが2026年に導入される。マックス・フェルスタッペンはRBPT施設を訪れて新型PUを“初試聴”し、技術責任者ベン・ホッジキンソンは「非常に印象を受けていた」と語った。RBPTはレッドブルが初めて自社開発するパワーユニットであり、2026年のレギュレーション刷新に向けて大規模な新設計が進む。ホッジキンソンは「メルセデスに対して我々は後発」としながらも、「開発速度では上回っている」という手応えを語った。
2026年PUは“400kW+350kW”の新時代設計2026年仕様のF1パワーユニットは、現在よりも電動化が大幅に強化される。内燃機関(ICE)は約400kW、MGU-Kは350kWを発生し、電動側の出力は約3倍に増える。燃料は100%持続可能燃料へ移行し、F1は軽量化した車体と共に新時代へ突入する。ホッジキンソンは、2014年のハイブリッド初期からメルセデスPUを支えた人物で、現在のRBPTを率いている。「(メルセデスは)非常に良い会社で、素晴らしい人材がいる。経験も豊富だ。多くの部分が現行PUと似ているため、彼らは我々よりずっと早くテストを始められただろう。それは彼らに大きなアドバンテージを与える」「2万点以上の部品をすべて描き直した」 RBPTの挑戦「パワーユニットには2万以上のパーツがあり、通常は毎年600点ほどを設計し直すが、今回はすべてを描き起こした。膨大な作業だったが、今は我々の方が開発速度は速いと思っている。後ろからスタートしたが、開幕戦までの“勝負”だ」レッドブル、フォード、そしてRBPTの新施設――それらへの信頼が、ホッジキンソンの自信の拠り所になっている。「自信がある、とは言えない。自信は油断につながる。このスポーツで“自信満々の人”は負ける直前だ。分からないからこそ慎重でなければならない。ただ、我々のチーム、サポート体制、施設については自信を持っている。正しい決断をしてきたと感じている。あとは開幕までの競争だ」フェルスタッペンがRBPTを訪問 新PUの“初試聴”で好印象ホッジキンソンによれば、フェルスタッペンは最近RBPTを訪れ、施設のツアーとともに2026年PUの実走シミュレーションを視聴したという。「彼は明らかに印象を受けていた。我々がどれほど多くの部品を製造し、どれだけ多くのエンジンがダイナモで走っているかを見せることができた。彼は2026年PUの“音”を初めて聞いた。来年、自分の後ろで何時間も鳴る音だ。とても興味深そうだった」RBPTの施設は、来訪者が驚くほど緻密な設計情報で満ちているという。「通常でも、見学した人はその細部の量に圧倒される。この施設は本当に特別で、非常に優秀な人々が作り上げたものだ。単一の要素まで徹底的に検証する。誰もが“信じられない”と言う」フェルスタッペンは“鋭い質問”を連発 技術理解にホッジキンソンも感心「彼は技術的理解が非常に高い。質問のレベルも非常に知的で、我々が説明した部分をさらに掘り下げようとしていた。同じ志を持つ人々に囲まれていると感じたはずだ。我々全員、フロントを目指すことだけが成功で、それ以外は十分ではない」フェルスタッペンは、新時代PUのパフォーマンスが2026年以降の競争力の核心になることを理解しており、その重要性を強調していたという。レッドブルRBPTは“本当に”先頭争いに加われるのか?2026年パワーユニット競争は、メルセデス・フェラーリ・アウディ・ホンダの既存PUメーカーに対し、RBPTは明確に“後発”。しかし、RBPTは設備投資、人材獲得、フォードの支援により、1サイクル目としては異例のスピードで開発が進んでいるとされる。ベン・ホッジキンソンの言動に見えるのは“過度な自信”ではなく、“明確な手応えと慎重さ”だ。フェルスタッペンが自ら施設に足を運び、音、振動、工程を確認したことは、ドライバーとPU側の信頼関係を築くうえで大きい。RBPTがどこまで先頭に迫れるのか――その答えは2026年開幕戦、RB22が新PUで動き出す瞬間に明らかになる。
全文を読む