ドイツのRTLは、今シーズン末で満了となるF1との契約を更新しないことを決定。ドイツ国内で30年間継続してきたF1の無料放送が終了することになった。RTLのスポーツ担当責任者を務めるマンフレッド・ロッペは、F1無料放送の終了は財政的な綱領と“変化する競争環境”が背景にあることを明らかにした。「自社たちができる2倍のオファーを準備できている競合他社がいる場合、撤退しなければならない立場に追い込まれるものだ」とマンフレッド・ロッペはコメント。
「我々は30年以上にわたり、革新と投資のための勇気ある準備だけでなく、大きな愛と情熱をもってF1を放送してきた」「RTLは、トップモーターレースシリーズで最も広く見られ、最も感情的で、忘れられない瞬間と永遠に関連付けられていくことだろう」過去1年間、ドイツでのF1の人気は一貫していなかった。ファンの熱意はフェラーリのセバスチャンベッテルがF1ワールドチャンピオンを獲得できず、ホッケンハイムでの国内レースがカレンダーから数回外れたことで影響を受けてきた。しかし、視聴者はケーブル放送局のSkyでもF1を視聴でき、ドイツ国内でのF1をフォローするには2つの選択肢があった。RTLのマネージングディレクターであるイェルク・グラフは「テレビ放映系をめぐる競争は変化し、市場は部分的に過熱している」とコメント。「したがって、それは我々の野心的な範囲を超えて拡大するだけでなく、経済的にも正当化できる限界を超えてしまっている」10年前のF1グリッドは、セバスチャン・ベッテル、ミハエル・シューマッハ、ニコ・ロズベルグ、ニコ・ヒュルケンベルク、エイドリアン・スーティル、ニック・ハイドフェルド、ティモ・グロックなどグリッドの3分の1をドイツ人が占めていた。しかし、セバスチャン・ベッテルは今シーズン限りでフェラーリF1の離脱が決定しており、2021年はF1グリッドから姿を消す可能性がある。有料テレビへの移行を進めてファンや視聴者がお金をかけなければレース中継を観れなくなっていることに批判が集まっているが、F1のメディア担当ディレクターを務めるイアン・ホームズは有料テレビへの移行の正当性を主張している。2019年にF1の累計視聴者数は過去最高となる19億2200万人を記録したが、全世界の“ユニーク視聴者数”は4億9000万人だった前年比から3.9%=1920万人の減少となった。この減少の主な要因は有料テレビへの移行だと考えられているが、イアン・ホームズは、人口統計学が有料テレビ放送への移行を決断した背景だとして、この動きを正当化した。「FTA(無料放送)放送局の方が有料テレビチャンネルよりも多くの視聴者を稼げるのは言うまでもない」とイアン・ホームズは語った。「とはいえ、それは少し単純化しすぎだ。まず、考慮すべき商業的要素が常にあり、それと同じくらい重要なのは、視聴者が誰であるか、人口統計がどうなっているか、つまり、どのような人たちに対して取り組んでいるかを見極めることだ」「さらに、有料テレビはしばしばより多くの詳細な中継を提供する。SkyやCanal+のような有料放送では、F1中継の全体的な質を向上し、ファンにより多くのものを提供し続けていると言える。過去に存在した放送よりも、彼らは素晴らしい仕事をしている」「そして、放送パートナーのさまざまなデジタルおよびソーシャルチャンネルや、F1が所有および運営する独自のプラットフォームおよびチャンネルでF1コンテンツを消費している人々がいる」英国では、Skyが独占放映系を保持しているが、Cannel 4が全22戦のハイライトとイギリスGPのライブ中継を実施。SkyとF1グループの契約は2024年末までとなっている。日本では、初めてF1日本GPが開催された1987年からフジテレビがF1を放送。放送開始当初は地上波での録画放送が中心だったが、1998年からはCS放送で全戦生中継に移行している。近年では、F1日本GPに関しては決勝の翌日にBSフジが録画放送で無料で提供している。
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