WEC第5戦メキシコ6時間の決勝レースで、TOYOTA GAZOO Racingの2台のTS050 HYBRIDは苦戦。2台共にノートラブルで6時間を走り切ったが、#8号車が3位表彰台、#7号車が4位という結果に終わった。FIA世界耐久選手権(WEC)は、メキシコシティで開催された第5戦メキシコ6時間レースでシーズン折り返し点を迎えた。TOYOTA GAZOO Racingは、シーズン開幕から順調に好成績を記録して来たが、第3戦ル・マンで勝利を逃し、その後のニュルブルクリンクでも苦しいレースを経験した。
第5戦のメキシコでもコースの特徴から厳しいレースになることは予想され、予選では、2台のポルシェに最前列を奪われ、2台のTS050 HYBRIDはグリッド2列目からのスタートすることとなった。レースは正午にスタートしたが、予想された雨はレース終了近くに僅かにコースを湿らしただけで、ほとんどドライコンディションでのレースになった。スタートは#7号車をマイク・コンウェイが、#8号車をセバスチャン・ブエミが担当。しかし、2台ともポルシェのペースにはついて行けなかった。理由はTS050 HYBRIDのダウンフォース不足。メキシコシティは標高2285mの高地にあり気圧が低い。それに対応すべく最大限のダウンフォースを付けてきたが、それでも十分とはいえなかった。ダウンフォースが不足すればタイヤが理想的な働きをしない。ペースが上がらなかったのはそのせいといえた。最初のスティントは#7号車が#8号車をリードしたが、スタートから90分を過ぎたところでブエミがコンウェイを交わして3位に。しかし、その後ブエミの#8号車はLMP2カーに接触され、あわやという場面もあった。その後2台のTS050 HYBRIDは#7号車をホセ・マリア・ロペス、#8号車を中嶋一貴が引き継いだ。2台は燃料補給のピットストップで順位を入れ替えながらの走行。しかし、ダウンフォース不足でタイヤのグリップ性能が十分に発揮出来なかったこともあり、ほとんど磨耗が確認出来なかった。その結果、両車は2スティント無交換でレースを戦ったが、#7号車は3スティント無交換で走破する場面もあった。最後のスティントに向けて#7号車は小林可夢偉に、#8号車はアンソニー・デビッドソンにドライバー交替を行ったが、そこで珍しいハプニングが起こった。近くの野球場から飛んで来たボールがコースに転がり、そのボールを取り除くためにフルコース・イエローが出された。レース終了まで30分となった頃、僅かに雨が落ちて来たが、ウエットタイヤに交換するほどの雨ではなく、レースは何事もなかったように続けられた。TOYOTA GAZOO Racingでは、この最後のスティントでチームオーダーを行使した。2台のTS050 HYBRIDは#7号車、#8号車の順位で走行していたが、ドライバーズ選手権で上位にあるドライバーが乗る#8号車を#7号車の前でゴールさせるべく、順位を入れ替えた。その結果、#8号車は3位に入り、デビッドソン/ブエミ/中嶋は15点を追加、ドライバーズ選手権ポイント合計93点とし、41点差でトップのポルシェ#2号車を追うこととなった。今シーズンの残り4戦はTS050 HYBRIDにとって得意なコース。逆転を狙う。ニュルブルクリンク、メキシコと苦しい2戦を戦ったTOYOTA GAZOO Racingは、2週間後に迫ったオースティン戦では本来のパフォーマンスを取り戻し、表彰台の中央を狙う。気温は非常に高く、路面温度も高くなるオースティンは、TS050 HYBRIDには適したコースといえる。9月16日(土)WECを戦う各チームは、再びオースティンに集まり、TOYOTA GAZOO Racingはポルシェと真っ向対決を展開する。TS050 HYBRID #8号車:(中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、アンソニー・デビッドソン)決勝: 3位、 239周、ピットストップ 6回、スターティンググリッド:4番手、最速ラップ(1分26秒445)TS050 HYBRID #7号車:(小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペス)決勝: 4位、 239周、ピットストップ 6回、スターティンググリッド:3番手、最速ラップ(1分26秒240)村田久武 (TOYOTA GAZOO Racing 代表)非常に残念なレースとなってしまいました。我々はここメキシコへ勝利を目指してやって来て、両チャンピオンシップでのポイント差を詰めるチャンスだと考えていましたが、ポルシェに敵いませんでした。 彼らの勝利を祝福します。 ドライバーを含めたチームは今週末、全員が全力でレースに挑んでくれましたが、望んでいた結果にはなりませんでした。気持ちを切り替えて次のレースに備えます。夢である世界チャンピオン獲得へ向け決して諦めることなく、次戦こそは勝利を争えるよう努力を続けます。小林可夢偉 (TS050 HYBRID #7号車)ベストを尽くしましたが、残念ながら今日はポルシェにプレッシャーをかけることが出来ませんでした。我々はTS050 HYBRIDがこのコースに最適ではないことは分かっていました。次戦は必ず勝利を争えるよう、全力を集中して臨みます。表彰台を逃したのは残念ですが、これもレースですし、次戦オースティンに向けて士気は高まっています。マイク・コンウェイ (TS050 HYBRID #7号車)可能な限りハードにプッシュして前の2台を追いましたが、今日は満足の行くレースになりませんでした。最後までベストを尽くし、僅かな可能性に望みをかけましたが、残念ながら雨は降らず、ポルシェもクリーンなレースでした。次戦こそはもっと力強いレースを戦えるようにプッシュして行きます。ホセ・マリア・ロペス (TS050 HYBRID #7号車)予選ではとても良いパフォーマンスを発揮出来たので、今日の決勝レースでも高い競争力を期待していましたが、狙い通りのペースで走ることは出来ませんでした。我々はベストを尽くし、クリーンなレースを戦いました。可夢偉、マイクと共に走った今日のパフォーマンスには満足しています。中嶋一貴 (TS050 HYBRID #8号車)我々全員にとって厳しいレースとなってしまいましたが、少なくともノートラブルで完走し、表彰台に上れたことは良しとしなくてはならないでしょう。我々#8号車にとっては、第2戦スパ以来の表彰台であり、その点では良かったです。全体的に厳しいものとなったレースウィークですが、全力を尽くしました。セバスチャン・ブエミ (TS050 HYBRID #8号車)厳しいレースでした。公式練習が終わった時点で難しいレースになることは予想していましたが、首位を争えるスピードはありませんでした。自分自身については3スティント、3時間以上に渡って走れたことに満足しています。信頼性も高かったですし、走りもスムースでした。ただ、速さが足りませんでした。アンソニー・デビッドソン (TS050 HYBRID #8号車)我々にとって非常に厳しいレースにな...
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