10月18日(金)、FIA世界選手権(WEC)第6戦 富士6時間レースは公式練習で開幕。トヨタ・レーシングは初日から速さを示し、順調なスタートを切った。チームのホームレースとなる今大会、トヨタ・レーシングは、2013年のWECシリーズを戦ってきたアンソニー・デビッドソンとセバスチャン・ブエミ、ステファン・サラザンのTS030 HYBRID #8に、アレックス・ブルツとニコラス・ラピエール、中嶋一貴によるTS030 HYBRID #7を加え、6月のル・マン24時間レース以来となる、2台体制での参戦となった。
午前11時から90分間で行われた公式練習第1回目では#8が3番手タイム。#7は4番手となり、午後3時半からコースが暗くなっていく中で行われた公式練習第2回目も、#8が3番手、#7が4番手につけた。 公式練習第1回目はラピエールとブエミがそれぞれ最初にステアリングを握ったが、セッションは開始後15分ほどで赤旗中断となった。17分間の中断の後、チームはタイヤとセットアップの評価作業を続行し、セッション中盤で、それぞれブルツとデビッドソンへとドライバーを交代。 デビッドソンは後半30分走行し、サラザンへと#8のバトンを渡した。貴重なセッション最後の数分間に、#7は中嶋へと交代。中嶋は今年4月にSUPER GTで勝利を挙げた富士スピードウェイで、1年振りとなるTS030 HYBRIDのステアリングを握った。 ブルツとラピエールは1週間前に、フランスのマニクール・サーキットで行われた、3日間にわたる2014年仕様のタイヤテストでハイダウンフォース仕様のTS030 HYBRIDをドライブしている。TS030 HYBRIDをドライブするのは4位に入ったル・マン24時間レース以来の中嶋にとっては、ハイダウンフォース仕様での初走行となった。 公式練習第2回目は、序盤を担当したラピエールから#7を引き継いだ中嶋がロングスティントを担当。#8はセッション開始時からサラザンがロングランをこなした。 セッション終盤には、#8はサラザンからブエミ、そして最後にデビッドソンへと交代。#7はブルツが最後にドライブし、2台のTS030 HYBRIDは僅か0.004秒差のベストタイムをマークして、この日の走行を終えた。 TS030 HYBRID #7:(アレックス・ブルツ/ニコラス・ラピエール/中嶋一貴)公式練習第1回目:4番手(1分28秒962)35周公式練習第2回目:4番手(1分27秒981)47周 アレックス・ブルツ #7: 今日は2台が別々のプログラムをこなしたので、1台より遙かに手際よくTS030 HYBRIDの煮詰めが出来た。2台揃うということは有効だ。コースは時間と共に変化し、グリップの状態もバランスも変わった。データを精査して明日に向けて最適なセットアップを見つけ出したい。ラップタイムを見る限りトップグループは接近しているので、厳しい戦いになると思う。 ニコラス・ラピエール #7: レースが出来るというのは嬉しい。2台で別々のプログラムをこなすというのは良いアイデアだった。興味あるデータが取れたはずだ。特にロングランは好調だった。2台のトヨタ、2台のアウディのタイム差は非常に少なかったので、レースは接戦必至だと思う。予選は難しいけれど、レースは我々に分があるとみている。 中嶋一貴 #7:ル・マン以来だが、またTS030 HYBRIDの運転席に座ることが出来て幸せだ。おまけに母国のレースとなれば、気持ちの高ぶりを抑えられない。今日の午前中は2周しか出来なかったが、バランス面で改良が必要と感じた。昼食を挟んで仕上げたので、午後はより理想に近づいたと思う。もちろんまだ改良の余地はあるが、明日はもう一歩進歩したい。 TS030 HYBRID #8:(アンソニー・デビッドソン/セバスチャン・ブエミ/ステファン・サラザン)公式練習第1回目:3番手(1分28秒777)39周公式練習第2回目:3番手(1分27秒977)52周 アンソニー・デビッドソン #8:両セッションでTS030 HYBRIDの調子は良かった。コースの変化に沿って仕上げていったのだが、今夜中にデータを分析して更に改良に務める。出来たら明日も明後日も晴れて欲しい。ドライ・コンディションで我々のTS030 HYBRIDはとても調子が良い。そんなこんなで今日は最高。もちろん明日はもっと良くなるはずだ。 セバスチャン・ブエミ #8:今日のTS030 HYBRIDはアウディに比べても非常に戦闘力が高かった。トヨタにとって母国で行われる重要なレースだけに、レースに向けて最高の性能を出せるように万全のセットアップを施すつもりだ。良いレースが出来ると信じている。とにかくデータを分析し、持てる性能を100%引き出せるようにしたい。 ステファン・サラザン #8:今日の公式練習では良いバランスを見つけられた。私はロングランを担当したが、好調だった。ただ、予選に向けてはもう少し手を入れなければならないところがある。とはいえ、良い感じなので、レースは大変な接近戦になると思う。激しいレースになれば、日本のファンには最高の贈り物になるだろう。 明日19日(土)は9:30から1時間にわたる最終公式練習のあと、13:55から25分間の公式予選が行われ、6時間の決勝レースは20日(日)11:00にスタートが切られる。
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