3月25日(金)、26日(土)の両日、南仏ポールリカール・サーキットで2016年のFIA世界耐久選手権(WEC)開幕を前にした合同テストが実施された。TOYOTA GAZOO Racingは、新型TS050 HYBRIDで初めての公開テストに参加。新シーズンへ向けての第一歩を踏み出した。2日間にわたって行われた今回の合同テストには、WECに参戦する全てのチームが参加し、29台で走行が行われた。
2日続けて天候にも恵まれたサーキットは観客へ無料で開放され、シリーズ開幕を待ちわびる数千人のWECファンが、2016年仕様の新型車両を一目見ようと集まった。TOYOTA GAZOO Racingは、昨年のル・マン24時間終了後から開発を行い、今年に入ってからポルティマオ(ポルトガル)、アラゴン(スペイン)などで行った合計4回のテストから得たデータを基に車両のセットアップを進めるため、TS050 HYBRIDの#5号車 1台を合同テストに持ち込み、6人のドライバー全員で2日間のテストをこなした。25日(金)には、#5号車のドライバーであるアンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴が、日中の2つのセッションを使ってル・マン24時間レースを照準に開発されたローダウンフォース仕様でテストを行い、夜間のセッションでは空力パッケージが変更され、ハイダウンフォース仕様で検証も行われた。26日(土)は、#6号車のドライバーであるステファン・サラザン、マイク・コンウェイ、小林可夢偉の3名がハイダウンフォース仕様のTS050 HYBRIDでテストを受け継ぎ、セッティングを熟成した。今回のテストで得られた、それぞれの空力パッケージについての貴重なデータは、ドイツ・ケルンにあるチームに持ち帰って解析され、TS050 HYBRIDの更なる開発が進められる。4月17日(日)にイギリスのシルバーストン・サーキットで行われる開幕戦シルバーストン6時間レースまでに、確認せねばならない多くの作業をこなし、特にタイヤの特性やFIAの規定に沿った様々な測定システムの作動確認などのために、チームは忙しい2日間を過ごした。今回の合同テストにおいて記録されたタイムは、必ずしも相対的なパフォーマンスを表したものではなく各チーム独自のテストプログラムをこなした結果である。チームは多くのラップタイムやスティント毎の詳細なデータを分析してシーズン開幕戦に備えることになる。佐藤俊男 (TOYOTA GAZOO Racingチーム代表)今回、ポールリカールに集まって頂いた多くのファンの皆様の前でTS050 HYBRIDを披露出来たことを嬉しく思います。また我々のTS050 HYBRIDをコース上でライバルと共に初めて一緒に走ることが出来たということに満足しています。本テストはシーズン開幕へ向けた重要なマイルストーンであり、これまでハードワークで準備してくれた全てのチームスタッフに感謝しています。この合同テストにおいて、異なる空力パッケージを試し、シーズン開幕へ向けた準備を計画通り進めることが出来ました。この2日間のテストの内容については満足しており、特にチームの力強いスピリットを目の当たりに出来たことを喜んでいます。開幕戦シルバーストンへと、我々はさらに作業を続け、可能な限り良い位置でシーズンのスタートを切ることが出来る様、全力を尽くします。