トヨタのモータースポーツ部門は、風洞契約の終了が間近に迫っているにもかかわらず、近い将来マクラーレンF1チームとの協力関係を継続する見込みだ。マクラーレンは今月、ウォーキングのファクタリーに新設した自社製の新型風洞に切り替える予定で、ケルンにあるトヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパ(TGR-E)の施設を使用してきた12年間のパートナーシップに終止符を打つ。
マクラーレンはもともと2010年にトヨタの旧F1風洞を使い始め、以来マクラーレンのすべてのF1マシンの設計に貢献してきた。風洞の変更によってマクラーレンがケルンの施設を使用することはなくなったものの、トヨタはこれで提携が終わるとは考えていない。TGR-Eのマネージングディレクターを務めるロブ・ルーペンは「私たちのドアはマクラーレンに対してオープンなままです。我々は、彼らが新しい風洞で成功することを祈っているます。マクラーレンがTGR-Eに求めるサービスや、彼らのエンジニアがケルンに滞在する頻度も当然変わってきますが、私たちはオープンな対話を行い、彼らの開発プログラムに新しい風洞を組み込むプロセスにおいて建設的な役割を果たしています」とコメント。「今回の活動で、TGR-Eがトップレベルのエンジニアリング・プロジェクトにいかに長期的な価値を付加できるかを明確に示すことができたと思います。今後もマクラーレンのような革新的な企業をサポートしていきたいと思っています」マクラーレンがケルン風洞を初めて利用したのは、トヨタF1チームがグランプリレースから撤退した翌年の2010年だった。2011年のレースで優勝したマクラーレンMP4-26の開発に初めて使用され、今年のMCL60までずっと使用されてきた。この関係は、風洞の使用だけでなく、研究開発や生産能力の活用も含めて、長年にわたって大幅に拡大した。マクラーレンはまた、トヨタのファクトリー内に専用の作業エリアを設け、独立したデータシステムとウォーキング工場へのリンクを設置していた。両者はまた、風洞の使用期間中、風洞が最先端の技術で開発され、維持されるように協力し合った。マクラーレンのチームプリンシパルであるアンドレア・ステラは、トヨタの協力は賞賛に値するものだと明言した。「TGR-Eのサポートは、私たちの成功にとってかけがえのないものです」とステラは語った。「マクラーレンチームと、この施設のスタッフとの間には良好な協力関係が築かれており、TGR-Eのアディティブ・マニュファクチャリング(積層造形)能力やその他の施設は、我々のマシンの開発プロセスにとって不可欠です」「マクラーレンに大きな効率性を提供し、チーム内で建設中の新体制と整合する現場での風洞の試運転に向けて前進する中で、TGR-E風洞で行われた作業が過去のチームの進歩に役立ったことを認識しており、この期間にわたるTGR-Eの貴重なサポートに感謝します」ルーペンは、トヨタ自身も長年にわたってマクラーレンの成功の一端を担えたことを嬉しく思っていると付け加えた。「これほど長い間、マクラーレンのF1ストーリーの一翼を担えたことを誇りに思います」とルーペンは説明した。「TGR-Eとマクラーレンの従業員がこの関係を成功させるために懸命に働いてきたのと同様に、信頼関係を築き、12年間も一緒に仕事をしてきたことは、私たち2つの組織間の相互尊重の表れです。私たちは、マクラーレンがこの間、私たちのために尽力してくれたことに心から感謝しています」