トロロッソ・ホンダが、8日間にわたるプレシーズンテストを振り返り、2018年のF1世界選手権の開幕戦となるF1オーストラリアGPにむけた課題を挙げた。ホンダF1は、これまで3年間、テストでF1パワーユニットにトラブルが多発し、十分な走行ができなかったことを思い起こせば、今回のテストはとても順調に終わった。想定外といえば、1回目のテストでバルセロナに雪が降り積もり、丸1日をフイにしたことくらいだった。
しかし、新たにホンダF1のテクニカルディレクターに就任した田辺豊治は「テスト全般を通しての評価は、80点です。まだやれることがある、という思いがあり20点減点しました」と8日間のプレシーズンテストを総括する。ホンダは、1回目のテストには信頼性を重視した仕様のパワーユニットで、2回目のテストではより実戦的な仕様のパワーユニットで臨んだ。テストを通して、パワーユニットに大きなトラブルは発生せず、予定していたテストプログラムの大半を消化することができた。テストプログラムは、パワーユニット、車体の作動チェックやシステムチェック、ロングラン、予選に対応するモードの確認、そして種類の増えたタイヤそれぞれの確認など多岐に渡る。「現状で、パワーユニットに大きな問題はありません。目標であった信頼性の確保、多くの周回を走るというのは達成できました。そしてこのテストでは、トロロッソとの連携、共同作業がとてもうまくいったことも、大きな成果だと思います」と田辺豊治はコメント。トロロッソ側もホンダとのいい関係を高く評価している。チームのテクニカルディレクターであるジェームズ・キーは「いくつか車体側にトラブルが起こったが、テスト全般としてはとてもうまくいき、順調にテストプログラムをこなすことができた。こんなに多くを走れたのはチームの歴史上初めてだ。これはホンダの努力が実を結んだもので、彼らとはとてもうまくやれ、いい関係を作れたという点でもテストは大成功だった」とコメントしている。ピエール・ガスリー、ブレンドン・ハートレーの両若手ドライバーも、テストでは好感触を得ている。「マシンは確実に進化している。自分でも少し驚くようなタイムが出せたし、開幕戦がとても楽しみだ」とピエール・ガスリーは語る。順調だったテストだが、9月のパートナーシップ発表からここに至るまで、ホンダのエンジニアがトロロッソのメンバーと懸命の作業に追われていた。テスト初日を終えた後、田辺豊治は「今季に向けたトロロッソとの準備期間は決して長くはありませんでしたが、限られた時間の中で密にコミュニケーションを取り、順調に作業を進めることができました。互いにいいパートナーシップを築けていますし、イタリア、日本、イギリスのそれぞれのファクトリーにいるチームメンバーの努力にとても感謝しています」と語っていた。「しかし、テストはテストです。タイムにしても、他車の状況などまだわからないことが多い。皆が本気でくるのは開幕戦の予選です。そこで初めて力が示され、自分たちのポジションがわかるでしょう。我々はそれに備えて、十分な準備を進めるだけです。現場を預かる者としては、現場の運営やオペーレーションのつまらないミスで、ポジションを落としたりリタイアしたりということのないよう確実にやっていきたいですね」とテストを終え、田辺豊治は新体制での初陣に思いをはせた。「実際、蓋を開けてみなければわからないことは多いですが、やれるだけのことをやって、開幕戦には100点で臨めるよう努力します。そしてどのような結果が出るのか。楽しみでもあり、緊張もしています」と長いシーズンの始まりを見据える。開幕戦はオーストラリア・メルボルンで3月23日にスタート、25日に決勝レースを迎える。関連:2018年 F1オーストラリアGP テレビ放送時間&タイムスケジュール