AUTOBACS SUPER GT第3戦『MOTEGI GT 250km RACE』が、11月12日、栃木県・ツインリンクもてぎ(1周4801.379mm×53周)で行われた。このレースは5月に予定されていた第3戦オートポリス大会が熊本地震で中止になったため、代替戦として最終戦もてぎ大会の土曜日に開催されることになった。このため土曜日に第3戦の、日曜日に最終戦(第8戦)の予選と決勝がそれぞれ開催されるSUPER GT初の大会となった。
第3戦の決勝ではNo.24 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(佐々木大樹/柳田真孝組)が今季2勝目を挙げ、GT300クラスでは、No.21 Hitotsuyama Audi R8 LMS(リチャード・ライアン/藤井誠暢組)がチーム初優勝を飾った。この日の午前9時に予選が行われ、昨晩の雨による路面の濡れが残る滑りやすい難しい状況の中、No.39 DENSO KOBELCO SARD RC Fの元F1ドライバー、ヘイキ・コバライネンがSUPER GT初ポールポジションを獲得した。なお、第3戦と明日の最終戦の予選は、ペアのドライバーが1人ずつそれぞれの予選を担当する。決勝レースでは、ポールポジションにつけたNo.39 DENSO KOBELCO SARD RC F(平手晃平)が好スタートを切り、序盤にあったGT300クラスのクラッシュによるセーフティカーランも無難に乗り切り、レース前半をリード。その後ろには、予選2位のNo.24 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(佐々木大樹)がしっかり付いていく。No.24 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rの近藤真彦監督は、ピットインを遅らせ、さらにタイヤも無交換で済ませる作戦を決行。これでレース終盤はNo.24 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(柳田真孝)がトップに立った。これを元F1ドライバーのヘイキ・コバライネンが駆るNo.39 DENSO KOBELCO SARD RC Fが猛追。ラスト2周はコバライネンがテール・トゥ・ノーズの激戦から何度もNo.24 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rのサイドに並び掛ける。だが、GT500で2度のチャンピオンを獲得している柳田がゴールラインまで辛くもしのぎきってチェッカーフラッグを先頭で受けた。これでNo.24 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rは第4戦以来の今季2勝目を挙げた。チャンピオン争いでは、このレースで2位になったNo.39 DENSO KOBELCO SARD RC Fのコバライネン/平手組がドライバーズランキングのトップとなり、No.1 MOTUL AUTECH GT-Rの松田次生/ロニー・クインタレッリ組が3ポイント差で、No.6 WAKO’S 4CR RC Fの大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ組が7ポイント差、この他5チームにより最終戦で争うことになった。GT300は21アウディが初優勝GT300クラスは、No.11 GAINER TANAX AMG GT3のビヨン・ビルドハイムがポールポジションを獲得。しかし、レースでは予選2位のNo.21 Hitotsuyama Audi R8 LMS(リチャード・ライアン)がピットインを利用して逆転。この後、藤井誠暢が逃げきって優勝。チームとライアンにとってのGT300クラス初勝利をもたらした。なお、ライアンはGT500クラスでチャンピオンを獲得しているベテラン。チャンピオン争いでは、このレースで7位に入ったNo.25 VivaC 86 MC(土屋武士/松井孝允組)が引き続きドライバーズランキングをリード。9ポイント差のNo.3 B-MAX NDDP GT-R(星野一樹/ヤン・マーデンボロー組)以下5チームと最終戦で決着をつけることになった。(観客:2万3,500人)GT500クラスNo.24 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R佐々木大樹「タイヤ無交換の作戦は、最初から頭の中に入っていました。だから序盤にトップの2台が逃げても、無理せずに彼らに上手く付いていくことができれば、後半楽になると思っていました。タイヤもできるだけセーブしましたが、最後は柳田さんに苦しい思いをさせてしまいました。勝つことができて嬉しいのですが、まだ明日、もう1回予選と決勝が残っているので、気持ちをリセットして引き締めます」 柳田真孝「レース終盤には凄く追い上げられて、ピットでは皆がヒヤヒヤしていたみたいですが、実は僕自身もヒヤヒヤしていました(苦笑)。優勝ですが爆発的な喜びはなく、明日のレースを終えてから喜びたいと思います。今回の勝因はやはり予選でフロントローに並んだことでしょう。明日の作戦ですか? 想像にお任せします(苦笑)」 GT300クラスNo.21 Hitotsuyama Audi R8 LMSリチャード・ライアン「チームメイトのトモ(藤井誠暢)はもちろんですが、チームとWRT(テクニカル・サポート)やアウディ・ジャパン、チームに関わるすべての人たちに感謝しています。このレースウィークでドライタイヤを履くのはレース前のウォームアップ走行が初めてという状況でセットアップは“当てずっぽう”でしたが、最終戦のもてぎでは、これまでも好結果を残しているダンロップが、良いタイヤを用意してくれて、それが大きな勝因になりました」 藤井誠暢「このチームに移籍してきてアウディをドライブするようになって3年目ですが、去年までは年に1回くらいは表彰台に上ることができても優勝はまだ見えない、という状況でした。今年になりクルマも良くなり、夏の富士ではあと少しで勝てるところまで来ました。0.1秒差で逃していたので悔しい気持ちもあったし、そこから不甲斐ないレースが続いていましたが、今回やっと勝てました。嬉しいという気持ちとホッとしたのと半々ですね。今日勝ったことでタイトル争いの権利も明日に繋ぐことができましたが、明日も一戦必勝の気持ちでがんばります」
全文を読む