2020年のスーパーGT 第4戦『FUJIMAKI GROUP MOTEGI GT 300km RACE』の公式予選が9月12日(土)にツインリンクもてぎで行われた。小雨が強くなったり弱くなったりと難しい状況の中、GT500クラスはNo.38 ZENT GR Supra(立川祐路/石浦宏明)の立川が自身の持つ最多記録を更新するポールポジションを獲得。GT300クラスはNo.360 RUNUP RIVAUX GT-R(青木孝行/柴田優作)の青木が獲得。
この日午前に行われた公式練習から、ツインリンクもてぎは霧雨が立ちこめ、時に雨脚が強くなる状況。公式予選開始を前にウエット宣言(レイン用タイヤが使用可能)が出されているが、この時点の路面はほぼドライだった。GT500クラスの予選Q1は、GT300クラスQ1で赤旗中断があったため、予定より8分遅い午後3時11分より10分間で行われた。コース上は霧雨だったが、ほとんどのチームがドライ路面用のスリックタイヤを装着してコースイン。唯一の例外がNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R(ヤン・マーデンボロー)だ。24号車は一旦ウエットタイヤ で走り始めたが、これは無理と判断したのか1周でピットイン。スリックタイヤに替えてコースに戻った。最初のタイムアタックではNo.38 ZENT GR Supra(石浦宏明)が、1分42秒127を記録してトップ。しかし2周目のアタックでNo.19 WedsSport ADVAN GR Supra(宮田莉朋)が1分37秒499を叩き出して、一気にトップを奪う。同じヨコハマタイヤを履くNo.16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原右京)も1分38秒240を記録して2番手に続く。2人は共に今季がGT500初レギュラーで、皆の期待に応える走りを披露。しかし、笹原は最後のアタック周の90度コーナーで、強くなった雨に滑ったのかコースオフ。グラベルに捕まって、そのまま走行終了。その間にNo.64 Modulo NSX-GT(大津弘樹)が1分37秒598を記録して2番手に浮上。No.17 KEIHIN NSX-GT(ベルトラン・バゲット)も1分38秒192で3番手につける。しかし、それでも16号車のタイムは5番手に踏みとどまり、Q2進出を果たすことができた。一方、終了間際に7位のタイムを出したNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(千代勝正)、9位のNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生)は、16号車がコースアウトして黄旗が出ている区間を通過してベストタイムを出したことで、このベストタイムが抹消になってしまう。これで予選Q1を10位で終えたNo.38 ZENT GR Supra(石浦宏明)が繰り上げで8番手となって辛くもQ2に駒を進めることになった。GT500クラスのQ2は午後3時51分より、10分間の走行で行われた。Q1を通過した8台は、まずスリックタイヤでコースイン。だが、Q1から降り続く霧雨は遂に路面をウエットコンディションに変えていた。このため1周でNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(中山雄一)を筆頭に相次いでピットイン。慌ただしくウエットタイヤに交換してコースに飛び出して行った。その中、No.38 ZENT GR Supra(立川祐路)だけは1周でピットに入らず、もう1周してピットへ。これでタイヤを温める周回がライバルより1周減ったため、タイヤ本来のパフォーマンスをタイムアタックに活かせず上位進出は難しいと思われた。38号車を除く7台はアウトラップ、ウォームアップラップに続き、1周のみのタイムアタックに入る。まずはNo.8 ARTA NSX-GT(福住仁嶺)が1分45秒489でトップ。すぐにNo.17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大)がトップタイムを1分44秒079と更新する。だが、最後に笑ったのはウエットタイヤの交換で出遅れたはずのNo.38 ZENT GR Supraだった。立川は予選終了間際に1分43秒878とただ1人の43秒台を叩き出して、一気にトップを奪い去った。Q1を担当した石浦が「(黄旗が出て)安全の為にセクターでベストタイムを出していたのに諦めた。(その脇をアタックしていったクルマに)すごく腹が立った」という状況から、急にQ2走行が決まって慌ただしい走行だった立川だが、難しい状況を自らのテクニックで乗り越えて今季初のポールポジションを手にした。そして自身が持つ通算最多ポールポジション記録を24回に伸ばした。予選2位はNo.17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット)、同3位にNo.8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)とHonda NSX-GT勢が続いた。NISSAN GT-R NISMO GT500勢はQ2に進めず、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/千代勝正)の予選10位が最高位だった。GT500クラスNo.38 ZENT GR Supra立川祐路「今日は朝から天候が不安定で、午後の公式予選もドライなのかウエットなのか悩むところでした。僕らは開幕戦から苦戦が続いていましたが、クルマ自体は前回の鈴鹿からフィーリングが良くなっていました。今回、ライバルたちは予選の一発タイムで有利なタイヤを選んでいるようでしたが、自分たちはレースを考えてタイヤを選んでいて、ドライに関してはもう少し暖かく(路面温度が高く)なった時を想定していたので温めるのが大変だろうと思っていました。ただ、実際にはウエットに変わって行って、これが自分たちにいい流れになりました。実は今回、ブリヂストンさんがダンプコンディション(乾いた部分と濡れた部分が入り交じる路面状況)向けの良いタイヤを用意してくれて、これが良いパフォーマンスを見せてくれました。このタイヤが温まりも良くてペースも早く上げることができ、前を走る19号車(WedsSport ADVAN GR Supraの国本雄資)に思いの外近づいてしまいました。でも、この周しかないと思い、彼にはちょっと申し訳なかったです。でも、自分では(ポールポジションの)自信がなくて、無線で獲ったと知らされてびっくりしたほどでした。これで(通算のポールポジション最多記録は)24回ですが、“23”という数字はゲンが良くない(常に競っているNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rのナンバー)ので、24になってホッとしています(笑)。確かにいい流れになってきたので、これを逃さないようにしたいと思います。新型コロナウイルス感染予防というわけではないけれど前戦までは“活動自粛”だったので(苦笑)、明日の決勝では活動を再開しますよ。もちろん優勝を狙ってがんばります」石浦宏明「予選のQ1は路面が濡れている中、スリックタイヤでスタートすることになり、精一杯アタックしました。ただ最後のアタックラップでイエロー(黄旗)が出ていたことでアタックを中止せざるを得なくなって『(Q1を)通過するのはギリギリじゃないかな』と思っていました。そうしたらそのイエロー区間でペナルティからタイム抹消されたクルマがあり、(10番手から)繰り上がって8番手になり...
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