昨年、F1コンストラクターズランキングで最下位に沈み、最終戦まで無得点が続いたザウバーF1チーム。しかし2025年、元レッドブルの敏腕オペレーション責任者ジョナサン・ウィートリーをチーム代表に迎えて以降、明確な復調の兆しが見えてきた。先週末のF1スペインGPではニコ・ヒュルケンベルグが15番手スタートから驚異の5位フィニッシュ。これは2022年イモラでバルテリ・ボッタスが記録して以来のベストリザルトであり、レース中にはフェラーリを駆るルイス・ハミルトンをオーバーテイクする場面もあった。
ウィートリーはF1 Nationポッドキャストで、「チームとして非常に高いレベルでのパフォーマンスを発揮できた」と語る。「ファクトリーとの会話や戦略、そしてクルマ自体も全タイヤコンパウンドでペースがあった。ニコも予選の雪辱を果たす意気込みだった」「また純粋にレースができて、競争力を感じられることが嬉しい。予選でも2台ともQ2進出の可能性はあった。特にこのサーキットはエアロ依存度が高いからね。クルマがシミュレーション通りのパフォーマンスを発揮してくれたのは大きな前進だ」ウィートリーは就任からわずか8週間で7戦を経験。「ずっと地に足がつかないような感覚だった」と述べながらも、内部の状況を理解し始めていると話す。「いくつかのコミュニケーション手法を見直した。今は正しい方向に向かっているという実感がある」特に昨年大きな課題だったピットストップも、劇的に改善された。「ピットストップはチームスピリットの象徴だ。今回の2.1秒のストップは誇りに思っている。2台のフェラーリを追っている状況を見るのは、奇妙だけど素晴らしい光景だった」“ドライブしやすい”新車に手応え 期待集まる新パッケージ今季のザウバーはヒュルケンベルグに加え、ルーキーのガブリエル・ボルトレトという新たなラインアップで戦っている。ブラジル人ジャーナリスト、ジュリアンヌ・セラソリはボルトレトについてこう語る。「彼はこのマシンが大好きだと言っている。以前はトラフィックの中で扱いづらかったが、今はずっと乗りやすいと感じている」「今回のパッケージは、単にダウンフォースを増やしたのではなく、より予測可能でドライバブルな方向へと進化している」ザウバーは昨年末のアップグレードで周冠宇がポイントを獲得したことからも、開発の成果が着実に現れている。「スペインで導入した最新パッケージはうまく機能したし、夏休み前にもさらなるアップデートが控えている」とセラソリは期待を寄せる。スペイン人ジャーナリストのヘスス・バルセイロもF1 Nationでこう語る。「通常、後方チームが好成績を出すときはセーフティカーや雨、事故といった要因があるが、今回はそういった助けはなかった」「ヒュルケンベルグがフェラーリをオーバーテイクした事実は本当に興奮する。バルセロナはF1でもっともリファレンスになるサーキットのひとつ。そこで良い走りを見せた彼らは、今後の夏に向けてさらに期待が持てる」