佐藤琢磨が、インディカー 第2戦 ロングビーチのレース週末を振り返った。カルフォルニアのジンクスが再び佐藤琢磨と3人のチームメイトを襲った。ロングビーチの市街地コースで行われた2017年インディカー・シリーズ第2戦において、アンドレッティに所属する4人のドライバーはいずれもチェッカードフラッグを受けられなかった。
このうち、佐藤琢磨は残り7周で突然のパワーダウンによりリタイア。トップ10フィニッシュも十分に可能と思われていただけに、セントピーターズバーグでの5位に続く好成績が収められなかったことは返す返すも残念だった。セントピーターズバーグで得られた手応えは、バーバー・モータースポーツ・パーク、セブリング、ソノマで立て続けに行われたテストでも同様に感じられ、佐藤琢磨とNo.26ダラーラ・ホンダに関わるスタッフを大きく勇気づけるとともに、マシンの進化を加速させた。「第1戦と第2戦の間に1ヵ月近いインターバルがあるなんて、インディカー・シリーズでは滅多にありません」と佐藤琢磨。「ただし、とても忙しい日々でした。今年のプレシーズンくらい、テストの量が少なかったことはここ何年もありませんでしたが、シーズンが始まってからは忙しくテストに取り組んでいます。バーバーと、マニュファクチュアラー・テストが行われたソノマはロードコース向けのテスト、そして(バンプが多い)セブリングでは市街地コースを見据えたテストを行ないました。どちらも順調で内容が濃いテストだったので、僕たちは意気揚々としてロングビーチに向かいました」「初日のセッションはとてもうまくいきました。僕たちのクルマはほかと異なることを試していたので、1回目のセッションではラップタイムが状況を反映していたとはいえません。2回目のセッションでは4番手まで一気に上がりました。この結果には満足で、しかも昨年の予選タイムにとても近い記録だったから、マシンが進歩していることは明らかでした。そして、フリープラクティスで柔らかめのレッド・タイアを試したのも、今回が初めてでした。今年からルールが変更されたためですが、セントピーターズバーグではアクシデントのため、レッド・タイアを履くチャンスがなかったのです」「土曜日のプラクティスはさらにタイムを上げました。このときはブラック・タイアで走行しましたが、タイムは5番手で、トップ5のタイム差は5/100秒しかありませんでした。なんという接戦でしょう! このときはレッド・タイアの特性も概ねわかっていたので、予選に向けて大きな期待を抱いていました」しかし、予選は不本意な結果に終わり、これが決勝レースで苦戦を強いられるきっかけとなる。予選グループでの順位は9番手で、このため佐藤琢磨は18番グリッドからのスタートを余儀なくされた。「バランスの変化に戸惑いました。気温が上がったうえに風が吹が強くなっていましたが、これは誰にとっても同じことです。まずブラック・タイアでウォームアップして、レッド・タイアに履き替えました。アタックできるのは2ラップです。最初のアタックでターン5の縁石を使ったとき、奇妙なことが起きました。アプローチの仕方がそれまでと違ったのかもしれませんが、クルマが間違った方向に飛び出し、アタックを中断しなければいけませんでした。次のアタックが最後のチャンスでしたが、やはりターン5でバランスを崩し、またもやタイムをロスしました。残りのラップで取り戻そうとしましたが、不可能でした。とても残念です。いろいろな条件が重なったのと僕のミスが原因でした」この後、佐藤琢磨はエンジニアのギャレット・マザーシードとNo.26のセッティングを見直し、決勝日当日のウォームアップでは2番手のタイムを叩き出す。「何人かのドライバーはレッド・タイアを履いていましたが、僕はブラックを選びました。このときは『これが予選だったら!』と思わずにはいられませんでした。上がり下がりの激しい週末でしたが、最終的にいい結果が得られると信じていました」追い越しが難しいロングビーチで下位グリッドから追い上げるには、できるだけ早い段階で通常とは異なる戦略に切り替えるしかない。佐藤琢磨が選択した作戦もこれで、オープニングラップにウィル・パワーとチャーリー・キンボールの事故が起きてコーションになると、佐藤琢磨は2ラップ目にピットストップを実施。2回目のストップは12周目に行った。「今年の決勝は例年より5ラップ長くなりました。したがって2ストップで走りきるには燃費を15%ほどセーブしなければいけません。ただし、朝のウォームアップでは僕たちのマシンが速いことは明らかだったので、3ストップ作戦を基本としましたが、いっぽうで柔軟に対応できるようにしたいとも思いました。また、僕たちには使えるタイアがたくさんありました。なぜなら、僕たちの予選はセグメント1だけで終わったからで、このためレッド・タイアが1セット余分にありました。つまり、最初から最後まで攻め続けられる環境が整っていたわけです」「けれども、期待ほど速く走れませんでした。その詳細については検証しなければいけないものの、気温の上昇が関係しているのか、予想したほどのグリップを得られませんでした。苦しい戦いだったといえます。オーバーテイクで順位をいくつか上げることができましたが、大事な局面で抑えられる格好になり大きくタイムロスしてしまいました」レースの1/4を終えると、佐藤琢磨はJRヒルデブランドをパスしたものの、エド・ジョーンズを攻めあぐねることになる。佐藤琢磨は結果的に4ストップ戦略にスイッチし、残り26周で最後のピットストップを行う。それから間もなく、チームメイトのアレクサンダー・ロッシがコース上で停止したため、この日2度目で最後のコーションとなる。グリーンフラッグが振り下ろされたのはフィニッシュまで16ラップとなったときのことで、佐藤琢磨は13番手につけていた。少なくとも、この段階まで佐藤琢磨はレースを戦い続けていたのである。続いてトニー・カナーンをパスして12番手、ミカエル・アレシンを攻略して11番手に浮上。トップ10フィニッシュが限りなく現実味を帯びてきたこのとき、マシンが不調に陥った。「この日のレースでトップ6やトップ7に入った何人かのドライバーと同じ戦略を選んでいました。けれども、最後のピットストップではまたしてもタイムをロスし、これが決定的な痛手となりました。コースに戻った僕はまだペースが上がらない状態で、...
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