佐藤琢磨が、インディカー 第4戦 アラバマのレース週末を振り返った。ベライゾン・インディカー・シリーズのバーバー・モータースポーツ・パーク戦は、佐藤琢磨があとになって振り返りたくなるようなレースではなかったかもしれない。だが、好調にシーズンをスタートさせた佐藤琢磨にとって、スタート直後に順位を落としたレースでその被害を最小限に抑えた意味は小さくない。
しかも、今回はシーズン2度目の「コーションのないレース」となり、AJフォイト・レーシングがNo.14 ダラーラ・ホンダのポジションを上げる方法はストラテジー以外にない状況だった。そして13位でフィニッシュした佐藤琢磨が得たポイントは、ランキングでトップ10に留まるのに十分なもの。ちなみに、佐藤琢磨はいまポイントランキングの9番手につけている。金曜日の走行を終えて後片付けしているとき、チームはこの結果よりもはるかにいい成績を期待していたはず。なにしろ、この日のフリープラクティスで佐藤琢磨がトップタイムを記録しただけでなく、チームメイトのジャック・ホークスワースも2番手に食い込み、チームは1-2ポジションを占めていたのだ。「とてもいい1日でした」と佐藤琢磨。「長い間、行われてきたバーバーでのウィンターテストは、やがて2デイのオープンテストとして定着するようになりました。しかし、今年はこれがフェニックスのテストに置き換えられ、バーバーではプライベートテストを1日行なっただけです。例年、オープンテストは開幕前の3月に開催されていましたが、この時期はまだ寒く、かなり速いラップタイムが記録されることも少なくありません。ただし、4月にレースのためにこのサーキットを訪れると、それよりもずっと温かくなっていることが多い。今年、テストでバーバーを訪れたチームのほとんどは、3月末に開催された開幕戦セントピーターズバーグのあとでアラバマにやってきました。このため、新しいエアロパッケージを試すこともできました。これまでと今回のテストの最大の違いは、気温がずっと高かったためにとても信頼のおけるデータが得られた点にあります。僕たちのテストは大成功に終わったと思います。ラップタイム的にも僕たちはコンペティティブで、いくつものアイテムを試し、どのアイデアが有用で、どれがそうでないかを確認できました」このため、シーズン最初のロードコース・レースが開催される風光明媚なアラバマに再び戻ってきたチームはポジティブなムードに包まれ、実際のところ金曜日はすべてが予定どおりに進行した。最初のプラクティスで佐藤琢磨は5番手。そしてその後、行われた2度目のセッションではトップに浮上したのである。「僕たちは自信がありましたし、金曜日の僕たちは本当にコンペティティブでした。ラップタイムはいずれも僅差でしたが、ホンダ勢が一団となって速さを発揮しました。それにしても、タイムシートの上位に名を連ねるのは本当に気分がいいものです」「でも、さらに速いタイムが記録できることもわかっていました。元々コースは僕好みのものでしたが、ようやくこの流れるような素晴らしい高速コーナーの連続を満喫することができました。公式セッション中にAJフォイトが1-2ポジションを占めたのは、おそらくこれが初めてのことだと思います。ところが、土曜日になると状況は一転します。もちろん、それにはちゃんとした理由がありましたが、そのときはとてもショッキングな出来事でした。金曜日はテストのときより気温は高めでしたが、土曜日と日曜日に比べれば涼しい1日でした。土曜日は特に温かく、路面温度も気温も上昇しました。おかげでグリップ・レベルは低下し、コースコンディションは大幅に変わりました。ほんのわずかなことでクルマのバランスが変わってしまうことに、僕らは驚きました。コンディションの変化は誰にとっても同じことですが、僕たちには特に大きな影響があったようです。失ったグリップ・レベルを回復させようとして努力しましたが、すべて失敗に終わりました」土曜日のプラクティスは13番手という結果。したがって、トップ12のドライバーが出走できるQ2に進出できる可能性はまだ残されていた。しかし、毎回接戦が繰り返されるインディカー・シリーズの常で、佐藤琢磨は100分の数秒差でQ2進出のチャンスを逃し、16番グリッドに沈み込むこととなった。「まだ完全には理解できていない部分が残るセットアップで、これがコンマ1秒程度の影響を与えたのは間違いないと思います。予選のときは気温が高く、柔らかめのソフトタイヤでは1周しかアタックできません。今回はシーズン最初のロードコース・レースで、このパッケージングでタイヤがどんな特性を示すのかは、不明な部分が残っている状態でした。あと100分の3秒速ければQ2に進出できたので、とても残念です」「でも、僕たちには純粋にスピードが欠けていました。たった0.025秒差といえばそれまでですが、インディカー・シリーズはそれくらいの激戦なのです。それにしても16番手になるなんて、思ってもみませんでした」日曜日のウォームアップではふたつのセットアップを試したが、どちらも結果は芳しくなかった。そこで、いずれとも異なるセットアップで決勝レースに挑むことになった佐藤琢磨は、みずからの幸運を祈りながらグリッドに並んだ。そんな佐藤琢磨の目の前で多重クラッシュは起きた……。「グリーンフラッグが振り下ろされる前にカルロス・ムニョスが加速し始めましたが、思った以上に加速していることに気づいた彼は状況を正そうとしてミハイル・アレシンと接触してしまいます。彼はスピンすると、チームメイトのジャックに激突。僕はギリギリのところで難を逃れましたが、ダメージを受けなかったのは幸運以外の何ものでもありませんでした」「バーバーのオープニングラップでは、ターン1から3まではサイド・バイ・サイドで通過してヘアピンのターン5に進入しなければいけません。なぜなら、そこから先はオーバーテイクがきわめて困難になるからです。僕はターン2でアウト側に回り込むことを狙ったポジションでターン1をクリアしましたが、どうやらタイヤに無理な負担をかけてしまったようです。ターン2の進入でリアグリップが一気に抜けて、思いがけず、あわやという事態に追い込まれました。ニュータイヤなのでまずまずのグリップ力を発揮してくれると期待していたのですが、僕は不安定になった挙動を修正しなければいけませんでした。この結果、コーナーのいちばん外側までラインが膨らんでしまい...
全文を読む